清水寺(せいすいじ 長野県)(読み)せいすいじ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

清水寺(せいすいじ 長野県)
せいすいじ

長野市若穂(わかほ)町保科(ほしな)にある真言(しんごん)宗智山(ちさん)派の寺。阿弥陀(あみだ)山護国院と号する。通称保科観音(かんのん)という。本尊千手(せんじゅ)観音。信濃(しなの)観音第16番札所。行基の開創と伝えられ、801年(延暦20)坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が奥州出征の途次当寺に祈願し、凱旋(がいせん)後の806年(大同1)に寺堂を再建し、寺の鎮守として自分の兜(かぶと)の鉄鍬形(くわがた)(国重要文化財)と敵の直刀(ちょくとう)一振りを奉納した。1916年(大正5)保科の大火で一山堂宇はことごとく焼失したが、ただちに復興に着手し、奈良県桜井市の石位寺(廃寺)旧蔵の仏像七体、本尊の千手観音坐像(ざぞう)、地蔵菩薩、薬師如来(にょらい)、聖(しょう)観音菩薩、阿弥陀如来、広目天・多聞天の木像(いずれも国重要文化財)を安置。ほかに鎌倉時代の絹本着色両界曼荼羅(まんだら)二幅(国重要文化財)がある。

[野村全宏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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