渋川市(読み)シブカワシ

デジタル大辞泉 「渋川市」の意味・読み・例文・類語

しぶかわ‐し〔しぶかは‐〕【渋川市】

渋川

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日本歴史地名大系 「渋川市」の解説

渋川市
しぶかわし

面積:五一・八四平方キロ

県の中央部に位置し、東は利根川を境として勢多せた北橘きたたちばな村、西は北群馬郡伊香保いかほ町および沼尾ぬまお川を間に吾妻あがつまあずま村、南は北群馬郡吉岡よしおか村、北は吾妻川を境として同郡小野上おのがみ村・子持こもち村に接する。市域は南北約一〇キロ、東西約六キロで、榛名はるな山東麓の標高約六〇〇メートルから三〇〇メートルにかけては緩傾斜して東に延び、数十メートルの急崖をもって関東平野の平坦地となる。半田坂東はんだばんどう橋付近で標高約一五〇メートルであり、標高差は四五〇メートル。市の中心部は平沢ひらさわ川の扇状地である。交通の要衝として発展し、国鉄上越線・吾妻線・上越新幹線、関越自動車道国道一七号が通る。市名は昭和二九年(一九五四)の市制施行の際中核となった渋川町による。渋川の地名は貞和四年(一三四八)の懸仏にみえるのが早い例である。

〔原始・古代〕

先土器時代の遺物は榛名山東麓の行幸田山みゆきだやま遺跡から磨石が一点発掘されたにすぎないが、縄文時代の遺跡は空沢からさわ城山じようやまじよううえうえはらの各遺跡など市内全域に分布し、空沢遺跡では敷石住居跡などが発掘されている。弥生時代の遺跡には有馬ありま・有馬条里・空沢・南大塚みなみおおつか遺跡などがあり、南大塚遺跡からは再葬墓の大甕九個が出土し、有馬遺跡などからは周溝墓が発掘された。有馬条里・中村なかむら・空沢の三遺跡からは周溝墓の中に遺骸を小石で敷きつめ納めた礫床墓が発掘された。全国でも渋川市にしか発見されていない珍しい墓制である。古墳は榛名山東麓の急崖上から関東平野の平坦地まで広く分布し、金井かない丸山まるやま・かねづか虚空蔵塚こくうぞうづか東町あずまちよう十二山じゆうにやま愛宕あたごの古墳があり、古墳群には坂下さかした町・空沢・堂山どうやま・吉岡川流域古墳群などがある。虚空蔵塚古墳は榛名山の一峰ふたッ岳から噴出した一メートルもの軽石層の上に築かれた七世紀末から八世紀初頭の円墳で、横穴式石室は羨道部がなく玄室・前庭部という構造で截石切組積みである。行幸田山遺跡の古墳からは銅鏡製鏡)が出土している。また有馬条里・中村遺跡からは古墳前期初頭の畠状遺構が発掘された。

「新撰姓氏録」右京皇別に阿利真公(垂水公)が載る。上毛野君と同じく豊城入彦命の子孫といい、古代の有馬郷(和名抄)を中心とした地域に居住したと推定される。「上野国神名帳」には有馬渠口・有馬堰口・有馬堰口御の三明神の名があり、これらはいずれも農耕・用水に関する神と思われる。この神社のある有馬や、行幸田・石原いしはら・中村・八木原やぎはら・半田地区にまたがって条里制遺構があったが、昭和四五年からの土地改良事業によって破壊された。

渋川市
しぶかわし

2006年2月20日:渋川市と北群馬郡子持村小野上村伊香保町勢多郡赤城村北橘村が合併
【子持村】群馬県:北群馬郡
【小野上村】群馬県:北群馬郡
【伊香保町】群馬県:北群馬郡
【渋川市】群馬県
【赤城村】群馬県:勢多郡
【北橘村】群馬県:勢多郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「渋川市」の意味・わかりやすい解説

渋川〔市〕
しぶかわ

群馬県中部,利根川吾妻川の合流点の平地を主とし,西は榛名山,東は赤城山に及ぶ市。 1954年渋川町と金島村,古巻村,豊秋村の3村が合体して市制。 2006年伊香保町,小野上村,子持村,赤城村,北橘村の1町4村と合体。中心市街地の渋川は利根川,吾妻川の流域にあたる北毛を後背地とする谷口集落として発達。三国街道宿場町で,2,7のつく日には六斎市が開かれた。 1928年に佐久発電所が完成し,その電力を利用して駅付近の利根川河畔に化学,鉄鋼の大工場が進出。カセイソーダ,塩酸,火薬,鉄鋼などを生産する。なお榛名山麓の浮き石 (軽石) を原料とする建材用ブロックも生産。農村部では畜産,米作が行なわれ,リンゴ,コンニャクイモ,シイタケが栽培される。伊香保温泉は垂仁天皇の頃に発見されたといわれ,『万葉集』にも詠まれた。国の重要文化財指定の石造笠卒塔婆のほか,真光寺,八幡宮などの古社寺がある。赤城には上三原田の歌舞伎舞台 (国の重要有形民俗文化財) がある。黒井峯遺跡,滝沢石器時代遺跡は国の史跡,敷島のキンメイチクは国の天然記念物。 JR上越線が通り吾妻線の起点。国道 17号線が通り,関越自動車道の渋川伊香保インターチェンジがある。面積 240.27km2。人口 7万4581(2020)。

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