測地(読み)そくち

精選版 日本国語大辞典 「測地」の意味・読み・例文・類語

そく‐ち【測地】

〘名〙 土地測量すること。土地の高低・広狭・位置関係などをはかること。量地
官報‐明治三六年(1903)四月二〇日「又測地事業に関し重要なるものを挙たれば」 〔晁補之‐再見蘇公書〕

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デジタル大辞泉 「測地」の意味・読み・例文・類語

そく‐ち【測地】

[名](スル)土地を測量すること。「建設予定地を測地する」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「測地」の意味・わかりやすい解説

測地
そくち

地球の形や大きさ、あるいはその変化に関するさまざまな量を測定すること。ある地点が地球上のどの位置にあるかを決めることも測地の一つである。したがって、地図をつくるための測量から地球全体の大きさを決める大規模な測定に至るまでのあらゆる作業が測地に含まれる。

[長沢 工]

古くから行われている測地の分野

測地測量の分野には基線測量、三角測量水準測量などがある。そのうち基線、三角測量はいまでは三辺測量に置き換わっている。天文観測では経緯度観測が測地の分野である。経緯度の決定には地球の自転運動、極運動の状態を知ることが重要で、それらに関係する観測も測地であり、また三角測量網を正しい向きに規正するための天文観測(ラプラス観測)も測地作業である。地球物理学に関していうと、地表重力値分布は、地球の形であるジオイドを決める重要な資料で、重力測定は測地の大きな一分野である。地球の形に関係すると考えられた歴史的な理由から地磁気の観測も通常は測地に含められている。地球は月、太陽の引力によって周期的に変形し、その結果、重力値、鉛直線方向も周期的に変化し、地殻伸縮を繰り返している。これらの地球潮汐(ちょうせき)を観測することも測地で取り扱っている。また、さらに長期的な地球の変形、地殻の隆起沈降、伸縮などのいわゆる地殻変動を測定することもまた測地の分野である。一方、大洋中の島、あるいは海底の位置やその変動の観測、海上における重力の測定などは海洋測地の分野である。

[長沢 工]

新技術による測地

1970年代以降、宇宙開発に関連したさまざまな新技術が測地の分野にも導入され、測地の手段に革命的な変化がもたらされつつある。その主要なものにVLBI(超長基線電波干渉法)およびレーザー測距技術がある。VLBIは銀河系外の天体あるいは人工衛星からの電波を2点で受信し、それを干渉させることで、2点間の距離を数センチメートルの精度で決定する方法である。またレーザー測距は、月、人工衛星にレーザー光を当て、反射してくるまでの時間から距離を求める方法である。両方の技術とも観測点の位置を数センチメートルの精度で決定する可能性をもち、測地の各分野に貢献するものと期待されている。

 1990年代になって、全地球測位システム(GPS)衛星を利用する技術が急激に進展し、比較的短時間で位置の高精度決定が可能になり、さらに繰り返し観測でその変動を検出するのに利用できるようになった。GPS利用による観測は、測地技術にひとつの革命をもたらしたといえよう。

[長沢 工]

測地の立場

地球が変形の少ない決まった形をしていると考えられていた時代は、測地は単にその形や大きさを決めるという静的な立場にたっていた。しかし、地球物理学が進歩し、プレートテクトニクス理論なども提唱されて変形する地球の姿が明らかになってくると、測地の目的は、変形する地球を時々刻々にとらえていくという動的なものに変わってきた。さらに地殻変動が大規模地震に関連するということから、地震予知のために地殻変動を観測するという現実的な要請もあって、測地の立場はこの面からも見直されてきている。測地の重要性は今後ますます大きくなっていくものと思われる。

[長沢 工]

『萩原幸男著『測地学入門』(1982・東京大学出版会)』『大野重保著『測地学の方法』(1987・東洋書店)』『藤井陽一郎・藤原嘉樹・水野浩雄著、地学団体研究会編『新版地学教育講座1 地球をはかる』(1994・東海大学出版会)』『檀原毅著『地球を測った科学者の群像 測地・地図の発展小史』(1998・日本測量協会)』

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普及版 字通 「測地」の読み・字形・画数・意味

【測地】そくち

測量。

字通「測」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の測地の言及

【測地衛星】より

…測地に利用する目的で打ち上げた人工衛星をいう。最初の測地衛星はアンナ(1962年打上げ)で,離れた地点から同時に光学観測ができるようにせん(閃)光を発する装置が備えられていた。…

【測地学】より

…一般の測量学と異なり,地球の曲率が考慮される。大測量学あるいは測地測量学ともいう。 測地学はその方法によって幾何測地学と物理測地学とに大別される。…

※「測地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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