日本大百科全書(ニッポニカ) 「測量船(船舶)」の意味・わかりやすい解説
測量船(船舶)
そくりょうせん
海上において測量に従事する船。海の深さや海底地形を測るのがおもな作業で、この測量を基にして海図が作成される。また、付随的に海流、水温などの海象に関する調査も行う。これら測量結果は、測定した位置を正確に知らなくては役にたたないので、測量船には複合測位装置(全地球測位システムGlobal Positioning System:GPSに代表される衛星測位装置、ロランCなどの電波航法装置、船速を測定するドップラーソナーなどを結合し、高精度な測定を可能にした装置)、精密電波測位機などの最新の船位測定装置が装備される。操縦性をよくするため可変ピッチプロペラを採用するものが多い。水深を測るにはマルチビーム測深機などの音響測深機や、錘測索(すいそくさく)(鉛のおもりをつけた綱)が用いられる。そのほか深海用音波探査装置、表層探査装置、採泥器、CTD(電気伝導度水温水深計Conductivity-Temperature-Depth profiler)、XBT(投下型自記水温水深計Expendable Bathythermograph)、ADCP(超音波式ドップラー多層流速計Acoustic Doppler Current Profiler)、航用波浪計、測量観測データ収録装置などが装備される。日本では海上保安庁の海洋情報部(旧、水路部)が海の測量にあたり、測量船5隻、測量艇14隻を保有している(2003)。
[森田知治]
『『測量』編集部「大洋を測る日本の測量船、調査船」(『測量』40巻7号所収・1990・日本測量協会)』