湿・沈(読み)しめる

精選版 日本国語大辞典 「湿・沈」の意味・読み・例文・類語

しめ・る【湿・沈】

〘自ラ五(四)〙
① 水分を吸ってしっとりと濡れる。水気を帯びてうるおう。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「しろき御衣ひきかけて、御ぐしは少ししめりて」
※枕(10C終)三六「霧にいたうしめりたるをぬぎ、鬢のすこしふくだみたれば」
② 火や灯火が消える。
書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「次に火炎(ほのほ)(シメル)時、躡誥出児亦た言(のりたまはく)
蜻蛉(974頃)下「火しめりはてて、しばしあれど」
③ 雨、風などの勢いが静まる。衰える。
源氏(1001‐14頃)明石「やうやう風なほり、雨の脚しめり、星の光も見ゆるに」
④ 静かになる。ひっそりと静まる。
※源氏(1001‐14頃)椎本「夜深きほどの人の気しめりぬるに」
⑤ 態度や性格などがしっとりと落ち着いている。
※源氏(1001‐14頃)絵合「これは、人ざまも、いたうしめり、恥づかしげに」
物思いに沈む。憂いに沈む。
※蜻蛉(974頃)下「今年は、天下ににくき人ありとも、思ひなほらましなど、しめりて思へば」
⑦ 雰囲気(ふんいき)が沈む。
風姿花伝(1400‐02頃)三「夜るは、遅く始まれば、定まりてしめるなり」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「雨は歇(や)まず、お勢は済まぬ顔、家内も湿り切って誰とて口を開く者も無し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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