漸化式(読み)ゼンカシキ(英語表記)recurrence formula

デジタル大辞泉 「漸化式」の意味・読み・例文・類語

ぜんか‐しき〔ゼンクワ‐〕【漸化式】

数列のいくつかの項の間に成り立つ関係式。例えば、公差dの等差数列ではan+1andとなるなど。

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改訂新版 世界大百科事典 「漸化式」の意味・わかりやすい解説

漸化式 (ぜんかしき)
recurrence formula

anan-1an-2のように,数列または関数列a1a2a3,……,anan+1,……において,akkn-1)のいくつかを使ってanを導く規則を与える式を漸化式という。漸化式はr変数の有理関数Fx1,……,xr)と最初のr個の項a1,……,arとを使って,an+1Fanan-1,……,an-r+1)(nrr+1,r+2,……)と表される場合が多い。例えば漸化式anan-1bは初項a1,公差がbの等差数列を与え,漸化式anran-1は初項a1公比rの等比数列を与える。応用上はFx1,……,xr)は一次式であることが多い。特別な場合として漸化式an+2pan+1qanを考えると,この漸化式は行列を使って,と書き表せる。したがって,である。二次方程式x2pxq=0の2根をα,βとおくと,根と係数の関係を使って,α≠βのときは,

であることがわかり,

である。したがって,

 an+2=(αn+αn1β+αn2β2+……+βn

  a2q(αn1+αn2β+……+βn2a1

であることがわかる。この最後の結果はα=βのときも成立する。関数列の漸化式は不定積分計算で出てくることが多い。例えば,I1tan1xであり,Inn≧2)は漸化式,で定まる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「漸化式」の意味・わかりやすい解説

漸化式
ぜんかしき
recurrence formula

数列または関数列 Si(i=1,2,3,…,n,…) があるとき,Si(in) のいくつかを用いて,Sn+1 を表わす公式のことをいう。たとえば,公差が a の等差数列では Sn+1Sna ,また公比が r の等比数列では Sn+1rSn ,また,積分
では

In={- sin n-1x・ cos x+(n-1)In-2}/n

などの漸化式が与えられる。一種差分方程式でもある。

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世界大百科事典(旧版)内の漸化式の言及

【漸近式】より

…領域Dで定義された関数f(x)とDの境界点aに対して,となる関数g(x)が存在するとき,g(x)をxaに近づくときのf(x)の漸近式という。これをf(x)~g(x)と表すことにする。x→+∞のときのガンマ関数,の漸近式を与えるスターリングの公式はこの例である。漸近式は数列に関しても使われることがある。数列{an}に対して,となる数列{bn}が存在するとき,{an}と{bn}は漸近的に等しいという。…

※「漸化式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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