瀬・湍(読み)せ

精選版 日本国語大辞典 「瀬・湍」の意味・読み・例文・類語

せ【瀬・湍】

〘名〙
① 歩いて渡れる程度の浅い流れ。あさせ。また、急流。はやせ。広く、川の流れや潮流もいう。
※古事記(712)下・歌謡「隠国(こもりく)の 泊瀬の河の 上つ勢(セ)に 斎杙(いくひ)を打ち 下つ勢(セ)に 真杙(まくひ)を打ち」
古今(905‐914)雑下・九三三「世中はなにかつねなるあすかがはきのふのふちぞけふはせになる〈よみ人しらず〉」
② ある物事に出合う時。その場合。おり。
※後撰(951‐953頃)恋二・六一二「試みに猶おりたたむ涙川うれしきせにも流れあふやと〈橘敏仲〉」
源氏(1001‐14頃)玉鬘「二もとの杉のたちどをたづねずばふる川のべに君を見ましや、うれしきせにも、ときこゆ」
③ そのような箇所。ふし。点。
※源氏(1001‐14頃)葵「嬉しきせもまじりて、大臣は御涙のいとまなし」
④ ある物事を行なう場所。その場所。ところ。居所
※新古今(1205)夏・二一七「聞かずともここをせにせん郭公(ほととぎす)山田の原の杉の群立〈西行〉」
⑤ ある人が置かれている境遇。立場。
※歌舞伎・謎帯一寸徳兵衛(1811)中幕ナニ、その餓鬼めが売られる事は否だ。アノ、うぬは親の瀬(セ)に立つ事は否か」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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