災害統計グローバルセンター(読み)さいがいとうけいぐろーばるせんたー(英語表記)Global Centre for Disaster Statistics

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

災害統計グローバルセンター
さいがいとうけいぐろーばるせんたー
Global Centre for Disaster Statistics

地震、津波噴火、台風など世界の災害データを収集・分析し、防災減災・復興に生かす公的研究機関。東北大学と国連開発計画UNDP)が2015年(平成27)4月、東日本大震災のデータ蓄積のある東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS(イリディス))内に設置した。世界規模で災害に関する公式データを収集・分析する初の公的機関である。災害統計の国際統一基準を定め、(1)災害による死傷者・不明者数や経済損失額などの被害統計、(2)津波や高潮の高さ、震度風速雨量などの気象観測データ、(3)人口密度や海抜ゼロメートル以下地帯の分布などの地理的情報、などを収集してデータベースを構築する。データベースの基盤整備や分析は通信・情報機器メーカーの富士通(ふじつう)が協力する。データベースを基に、防災・減災に向けた政策提言を行うほか、世界各国に災害統計を提供し、災害想定地域のモニタリング、防災政策の立案、被災地の復旧・復興などに役だててもらう。

 国連によると、21世紀(2000~2017年平均)に入って、自然災害で毎年約7万7000人が死亡し、約1億9000万人が被災者となっている。しかし観測体制や災害統計などが整備されていない国が多く、効果的な対策をとりにくいのが実態である。このため2015年3月に仙台市で開かれた国連防災世界会議で、災害統計グローバルセンターの設置を決定。災害統計グローバルセンターは2019年までにインドネシアなどアジア6か国の災害統計データベースを整備し、2020年以降はアジア太平洋地域20か国、将来は50か国へデータ収集する国を拡大する計画である。統計未整備の国に対しては、人口衛星の画像解析などによって雨量などを分析する手法を使い、ハザードマップの作成など具体的な防災・減災策を各国に提示していく。

[矢野 武 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android