犯罪の増加(ロシアの)(読み)はんざいのぞうか/ろしあのはんざいのぞうか

知恵蔵 「犯罪の増加(ロシアの)」の解説

犯罪の増加(ロシアの)

ロシアでは犯罪の増加と腐敗汚職蔓延(まんえん)が、国民にとって最も深刻な問題となっている。マフィアや組織犯罪は麻薬取引やレケト(恐喝)だけでなく、近年は警備保障会社のような形で企業のクルィシャ(保護者)として、経営や資源取引、貿易などに外面的には合法的形態で関与し、さらに核物質や武器の密売にも関わっている。1990年代には犯罪件数が急増し、98年は内務省の公式数字で約230万件、99年は300万1748件であった。殺人件数は94年が3万2284件、98年が2万9550件、99年が3万1140件。これは米国の3倍、フランスの5倍、ドイツの7倍、日本の二十数倍である。犯罪件数のうち、重大犯罪が約6割を占めている。経済犯罪も増え、取引上の紛争による実業家の「契約殺人」も98年には599件で、99年は倍増の勢いで増えた。2000年の大統領選挙の時、プーチンは犯罪との闘争を約束した。しかし03年の犯罪率は前年より8%増加し、そのうち盗み、強奪、詐欺などの日常的犯罪は20%増加。逆に犯罪検挙率は低下した。人口10万人当たりの殺人件数は、日本が1.10、米国が5.61に対し、ロシアは22.43件(04年)である。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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