玉器(ぎょっき)(読み)ぎょっき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉器(ぎょっき)」の意味・わかりやすい解説

玉器(ぎょっき)
ぎょっき

中国で硬玉や軟玉からつくられた半宝石をいう。竜山文化期以来の長い歴史をもつ。玉器は古来、天子諸侯の権威のシンボルとされ、祭祀(さいし)に用いた祭玉や佩用(はいよう)の瑞(ずい)玉、容器の(き)、盤(ばん)や、武器の戈(か)、矛(ぼう)、戚(せき)、鉞(えつ)、工具の刀(とう)、鏟(さん)などを模したもののほかに、人間、竜、鳥、虎(とら)、羊、牛、犬、蛙(かえる)、亀(かめ)、魚などをかたどった彫玉類など多くの玉器が今日知られている。祭玉や瑞玉のなかで代表的なものは、圭(けい)、璋(しょう)、璧(へき)、琮(そう)などで、圭は長方形板状の玉、璋はそれを半分にしたもの、璧は扁平(へんぺい)環状で孔(あな)の小さいもの、琮は長短さまざまな円筒状の玉である。ほかに半璧の璜(こう)、小形の璧の一方を欠いた玦(けつ)などがあり、その形体から玉質に至るまで多くの変遷があったが、古代中国人は玉に神霊なるものを感じたと思われ、墓室にまで持ち込んでいる。前漢の中山王劉勝(りゅうしょう)が玉衣をまとった姿で発見されたが、玉の神霊性に肉体の不滅を願ったものと考えられる。

[武者 章]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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