玉泉帖(読み)ギョクセンジョウ

デジタル大辞泉 「玉泉帖」の意味・読み・例文・類語

ぎょくせんじょう〔ギヨクセンデフ〕【玉泉帖】

平安時代小野道風白楽天の詩を3書を混用して書写したもの。名は巻首詩句「玉泉南澗花奇恠」から。

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精選版 日本国語大辞典 「玉泉帖」の意味・読み・例文・類語

ぎょくせんじょう ‥デフ【玉泉帖】

平安時代、小野道風の書跡帖。白楽天の詩を楷、行、草の三書体を駆使して書写したもの。書名巻頭の「玉泉南澗花奇恠」の句による。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉泉帖」の意味・わかりやすい解説

玉泉帖
ぎょくせんじょう

小野道風(おののとうふう)筆の巻物。宮内庁蔵。楮紙(こうぞがみ)4枚を継いだ料紙に、唐の白楽天の詩集『白氏文集(はくしもんじゅう)』巻第64の律詩4首を、題とも40行にわたって揮毫(きごう)している。書き出しが「玉泉南澗花奇恠……」に始まるため「玉泉帖」とよばれる。楷(かい)・行・草の三体の書風を交えた自由奔放な書きぶりで変化の妙をみせ、署名はないが、道風の真跡に疑いない『屏風土代(びょうぶどだい)』と同筆である。三跡の一人として名高く、在世中から能書をうたわれた道風の実力を発揮したもので、調度手本として執筆したものである。巻末に自ら、「是(これ)を以(もっ)て褒貶(ほうへん)を為(な)すべからず。例体に非(あら)ざるに縁(よ)るのみ」と謙遜(けんそん)の跋語(ばつご)を2行加える。通例とは異なる書風で執筆するという道風の書に対する前向きな態度がうかがわれる。

[島谷弘幸]

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