瑇瑁・玳瑁(読み)たいまい

精選版 日本国語大辞典 「瑇瑁・玳瑁」の意味・読み・例文・類語

たい‐まい【瑇瑁・玳瑁】

〘名〙
① ウミガメ科のカメ。甲の長さは最大で八五センチメートルに達するがふつう四〇センチメートルくらい。甲の中央板は五枚、左右が各四枚で周囲に小板が並ぶ。各板は半透明で黄色の地に暗褐色の雲形紋があり、屋根瓦状に重なるが老成すると敷石状になる。四肢はひれ状で、口先鉤状に曲がり、貝や魚などを食べる。熱帯・亜熱帯の海洋に分布し、黒潮にのって日本近海にもくる。砂地に産卵する。背甲は「鼈甲(べっこう)細工」の材料として珍重し、古来装身具・美術工芸品に用いた。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
② ①の背甲からつくった装身具や装飾品。鼈甲として珍重される。
※日本後紀‐延暦一八年(799)正月庚午「勅。玳瑁帯者。先聴三位已上著用。自今以後。五位得同著」 〔史記‐春申君伝〕
[補注]徳川幕府瑇瑁甲羅の細工物を禁じたので、商人がこれを「鼈(すっぽん)の甲」と称して売ったために、「たいまい」を「べっこう」ともいうことになったという。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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