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生存権・社会保障訴訟 せいぞんけんしゃかいほしょうそしょう

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知恵蔵2015の解説

生存権・社会保障訴訟

憲法25条の生存権規定をめぐる訴訟として最初に注目を集めたのは、1957年、生活保護法に基づいて厚生大臣が定める当時の保護基準が、25条にいう最低限度の生活を下回り違憲であると主張して提起された朝日訴訟である。第1審の東京地裁判決では原告が勝訴したが(60年10月)、上告中に原告が死亡し訴訟は終了した。ただ、最高裁は、念のためとして、25条は直接個々の国民に具体的権利を与えたものではないとし、生活保護基準の設定について厚生大臣の裁量を広く認めた(67年5月)。また、児童扶養手当障害福祉年金との併給禁止が争われた堀木訴訟でも、最高裁は、生存権の実現のための立法措置については国会に広い裁量が認められるとして、原告の上告を棄却している(72年7月)。近年においては、生活保護費を原資として子弟のために加入した学資保険が満期となり返戻金を受け取ったために、その分だけ生活保護の支給額を減額した福祉事務所長の処分を違法とした最高裁判決(04年4月)や、国民健康保険の保険料の賦課(ふか)については、租税法律主義を定めた憲法84条の趣旨が及ぶが、保険料率の決定・公示を市長に委任し、また恒常的な生活困窮者に対する保険料減免を認めない条例も憲法に反しないとした最高裁判決(旭川市国民健康保険条例訴訟、06年3月)などがある。また、20歳以上の学生について任意加入としていた1985年改正以前の国民年金法の違憲性を争う学生無年金障害者訴訟において、東京地裁判決(04年3月)や新潟地裁判決(10月)は立法不作為による国の責任を認めたが、東京高裁(05年3月・9月)や広島高裁(06年2月)は国の責任を否定している。

(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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