田村(市)(読み)たむら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田村(市)」の意味・わかりやすい解説

田村(市)
たむら

福島県中東部、阿武隈高地(あぶくまこうち)の中央に位置する市。2005年(平成17)田村郡滝根町(たきねまち)、大越町(おおごえまち)、常葉町(ときわまち)、船引町(ふねひきまち)、都路村(みやこじむら)が合併、市制施行して成立。市域の大部分が標高400~700メートルの高原で、阿武隈山系が南北に走り、日山、童子山、鎌倉岳、大滝根山、高柴(たかしば)山などが連なる。これらの山々を源とした牧野川、高瀬川、大滝根川、移川(うつしがわ)などが流れている。JR磐越(ばんえつ)東線、国道288号、349号、399号が通じ、磐越自動車道の船引三春(みはる)インターチェンジが設置されている。かつては「三春駒(ごま)」として知られた馬の産地であり、馬市も開かれていた。現在は葉タバコの主産地で、肉用牛の飼育や施設園芸なども行われている。

 常葉町地区は、明治初期に河野広中(こうのひろなか)らが全国に先駆けて民会をつくるなどした福島県の自由民権運動発祥の地である。滝根町地区の大滝根山西麓(せいろく)に広がる仙台平(せんだいひら)には入水鍾乳洞(いりみずしょうにゅうどう)(国指定天然記念物)、あぶくま洞がある。また、大滝根山や高柴山周辺は阿武隈高原中部県立自然公園に含まれている。堂山王子神社本殿は国指定重要文化財。そのほか、プラネタリウムを併設した「星の村天文台」、カブトムシ自然王国ムシムシランド、アウトドア施設「グリーンパーク都路」などがある。面積458.33平方キロメートル、人口3万5169(2020)。

〔東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では死者14人、住家全壊19棟・半壊196棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。あわせて東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染によって市域東部の山間部が避難指示区域(のちに避難指示解除準備区域・居住制限区域帰還困難区域再編)となったが、2014年に避難指示は解除された。同年には新市庁舎が竣工し、翌2015年から新庁舎での業務を始めている。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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