田野(町)(読み)たの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田野(町)」の意味・わかりやすい解説

田野(町)
たの

高知県南東部、安芸(あき)郡の町。奈半利(なはり)川河口右岸にあり、土佐湾に臨む。1920年(大正9)町制施行。国道55号、土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめん・なはり線)が通じる。集落は砂州に立地し、背後の海岸段丘にかけてナス、ピーマンシシトウなどの施設園芸が盛んである。奈半利川上流の魚梁瀬(やなせ)林業地帯の木材集散地で、かつては森林鉄道が通じていた。現在も貯木場、製材所などがあるが、製材業は減少傾向にある。江戸期には木材集散を背景に田野浦五人衆とよばれる豪商が現出し、のちには郡奉行所(こおりぶぎょうしょ)が置かれた。田野浦五人衆の一人米屋(岡家)の屋敷は参勤交代のときの藩主宿泊所で、書院造御殿(岡御殿)を残す。面積6.53平方キロメートル、人口2498(2020)。

[正木久仁]

『安岡大六著『田野文化史』(1952・田野町)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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