日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲板(こうはん)」の意味・わかりやすい解説
甲板(こうはん)
こうはん
船舶用語。デッキdeckともいい、一般には「かんぱん」とよばれる。建物でいえば床にあたる部分で、船内にほぼ水平に敷き詰められる。鋼船の出現以前、甲板は木材で張られていたが、現在ではほとんど鋼板になっている。貨物船の場合は鋼板がむき出しになっているが、客船では鋼板の上に木材を張り詰めたものが多い。船首から船尾まで連続している甲板のうち、最上層にあるものを上甲板という。それより下に甲板があれば第二甲板、さらにその下にあれば第三甲板というようによぶ。上甲板の上方にも何層かの甲板があるのが普通で、直接風雨にさらされる甲板を暴露甲板または露天甲板という。このほか甲板は、その目的、位置、形状などによって、航海船橋甲板、遊歩甲板、強力甲板などさまざまな名称でよばれる。上甲板は外板とともに構造上もっとも重要なもので、船の強度と剛性を保持し、水密性を確保している。
[森田知治]