男信・奈万之奈(読み)なましな

精選版 日本国語大辞典 「男信・奈万之奈」の意味・読み・例文・類語

なましな【男信・奈万之奈】

江戸後期の語学書。三巻。東条義門著。天保六年(一八三五)成立、同一三年刊。上代日本に渡来した漢字音には、ム韻尾とン韻尾の区別があり、それに対応して日本語でも、ム韻尾の字はマ・バ行に、ン韻尾の字はナ・ラ行の音を表記するのに用いられたことを、上代文献の用例を挙げて証明したもの。書名信濃地名を借りたもので、ム韻尾の男はナマの音を、ン韻尾の信はシナの音を表わすのに用いられた例として、本書意図を端的に示した。本居宣長の「字音仮字用格(じおんかなづかい)」で不明確であった点を明らかにした、字音仮名遣研究史上の一業績であるとともに、国語音韻史研究上の重要な業績である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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