男子・男(読み)おのこ

精選版 日本国語大辞典 「男子・男」の意味・読み・例文・類語

お‐の‐こ を‥【男子・男】

[1] 〘名〙 (「男(を)の子」の意)
① 成人の男子。壮士。お。おとこ。⇔女子(めのこ)
万葉(8C後)二〇・四三三一「鶏(とり)が鳴(な)く 東(あづま)乎能故(ヲノコ)は 出で向ひ 顧(かへり)みせずて」
※土左(935頃)承平五年一月九日「をのこもならはぬは、いとも心細し。まして、をんなは船ぞこにかしらをつきあてて、ねをのみぞ泣く」
② 男の子。男児。息子。おのこご。⇔女子(めのこ)
書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「吾子等(わかひこひとたち)〈子は男子(ヲノコ)の通称(かよへるな)なり〉」
殿上に奉仕する男。殿上人
古今(905‐914)夏・一六一・詞書「さぶらひにて、をのこどもの酒たうべけるに」
④ 下男。しもべ。郎党。侍。
※竹取(9C末‐10C初)「家につかはるるをのこ共のもとにつばくらめの巣くひたらば告よとの給ふを」
[2] 〘語素〙 目下の者の名前の下に付け、親しみの意味を表わす。
徒然草(1331頃)一〇二「『又五郎男(をのこ)を師とするより外の才覚(さいかく)候はじ』とぞのたまひける」
[語誌](1)男女区別を示す「を」「め」の対立語基に、「めのこ」と対をなす語。
(2)注目すべきは、③④のように宮中(殿上)や貴人に仕える男性を指すのに用いられたことで、この用法も含めて広く、世代的身分的に下の存在の男性と認識されたところが、類義語「おとこ(をとこ)」との違いであったとみられる。→「おとこ(男)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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