普及版 字通 「畜(漢字)」の読み・字形・画数・意味
畜
常用漢字 10画
[字訓] たくわえる・やしなう
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
玄(げん)+田。玄は糸たばの形。田はその糸たばを染める鍋(なべ)の形。その染め汁に糸を久しく漬けて、染色する。久しく漬けて色を深くすることを、停畜という。〔説文〕十三下に「田の畜なり。淮南子に曰く、玄田を畜と爲す」とする。〔段注〕に「淮南王」であろうというが、玄田に別つだけでは、字義を説きがたい。金文の字形は、明らかに糸を染めるために、鍋に停畜する形である。〔周礼、考工記、鍾氏〕は染色のことを掌る。その字は(しよう)に作るべく、金文の字形は(しよう)に作る。左偏の(らん)は架糸の象。旁の東は(たく)(ふくろ)の初文。中に糸たばを入れる。田は染め汁を入れた鍋の形。〔考工記、鍾氏〕に「三入を(くん)と爲し、五入を(しう)と爲し、七入を緇(し)と爲す」とあって、次第に色を深める。金文にを続(しようぞく)の意に用い、〔説文〕十三上に「はするなり」とするが、もと色についていう語であった。畜に三音あり、チクは停畜積聚、キクは飼養、キュウは獣畜の意である。
[訓義]
1. たくわえる、つむ、つみかさねる、とどめる。
2. やしなう、かう、かいそだてる。
3. 家畜、けもの。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕畜 ケダモノ・ヤシナフ・タクハフ・チウク・イル
[声系]
〔説文〕に畜声として(蓄)・(きく)など四字を収める。は〔説文〕一下に「積むなり」とあり、停畜の意を承ける字。またには、蓄積・積聚の意がある。
[語系]
畜・・xiukは同声。は蓄積。は〔一切経音義〕に引く〔蒼頡〕に「聚なり。積なり」とあって、禾穀の類を積聚することをいう。また畜にthiukの声があり、(育)jiukと声が近い。〔詩、風、日月〕に「我を畜(やしな)ひて卒(を)へず」とあり、育と同義の用法である。
[熟語]
畜愛▶・畜玩▶・畜蠱▶・畜民▶・畜牲▶・畜肉▶・畜穢▶・畜怨▶・畜狗▶・畜犬▶・畜穀▶・畜財▶・畜止▶・畜積▶・畜聚▶・畜獣▶・畜妾▶・畜生▶・畜粟▶・畜怒▶・畜髪▶・畜憤▶・畜牧▶・畜養▶
[下接語]
家畜・稼畜・鬼畜・牛畜・禽畜・五畜・耕畜・貲畜・聚畜・獣畜・人畜・貯蓄・長畜・放畜・牧畜・養畜・六畜
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報