家庭医学館 「疽/化膿性爪囲炎」の解説
ひょうそかのうせいそういえん【疽/化膿性爪囲炎 Whitlow / Paronychia】
手指あるいは足趾(そくし)(足の指)の小さな傷や、手あれのひどい人の手指に、黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)や化膿(かのう)レンサ球菌が感染しておこる病気です。手指、足趾は感覚が鋭いため痛みが生じ、しだいに強まってズキンズキンとした激しい痛みになります。腕、下腿(かたい)のリンパ腺(せん)にそって炎症が広がり、触れると痛くて赤い線状のリンパ節(管)炎となります。腋窩(えきか)(わきの下)のリンパ節、股(また)のリンパ節が腫(は)れて痛むこともあります。
炎症の場所が浅い場合は膿疱(のうほう)ができます。深い場合は、関節が痛み、曲げることもできなくなります。爪(つめ)の内側にできて膿(うみ)がたまると排膿(はいのう)できないため、痛みが強まります。
あれたり、かぶれのある手指の爪の生え際に感染した場合は、爪の周囲が赤くなり、腫れて痛みます。爪の周囲から膿が出る場合もあります。この状態が爪囲炎(そういえん)です。進行すると瘭疽となることもあります。爪囲炎をくり返していると爪が変形し、ガタガタになってしまいます。
瘭疽、爪囲炎ともに、手指にできる場合が多いのですが、足趾(そくし)にできるのは、爪を切る際に傷つけた場所や、爪が肉にくいこんでいる(陥入爪(かんにゅうそう))ところに感染がおこるためです。
[治療]
爪の周囲を消毒し、抗生物質の軟膏(なんこう)を塗ります。痛みの強いときには冷湿布(れいしっぷ)をして安静にします。痛み、腫れが強いとき、リンパ節(管)炎、リンパ節の痛みと腫れがあるときには抗生物質を内服し、痛みがとくに強い場合は痛み止めを併用します。皮膚を切開して、たまっている膿を排出すると、痛みはすぐに弱まり、早く治ります。爪が浮かび上がるような場合は、爪を取り除き、内側にたまった膿や壊死組織(えしそしき)を取り除きます。
とくに、爪囲炎をくり返す人は、その原因となる手あれ、かぶれの治療も必要です。