白川郷-五箇山の合掌造り集落(読み)しらかわごうごかやまのがっしょうづくりしゅうらく

世界遺産詳解 の解説

しらかわごうごかやまのがっしょうづくりしゅうらく【白川郷-五箇山の合掌造り集落】

1995年に登録された日本の世界遺産文化遺産)で、岐阜県大野郡白川村の萩町と富山県南砺(なんと)市の相倉と菅沼にある。白川郷、五箇山というのは江戸時代以前からの呼び名で、飛騨高地の険しい山間を流れる庄川沿いの段丘に形成された集落である。一帯は日本有数の豪雪地帯で、外界との往来が困難であった。そのため、戦後に電気や道路が設備されるまで、昔ながらの社会制度や慣習が維持され、独自の生活文化が残された。特に、合掌造りといわれる独特の建築様式と周囲の自然環境は、後世に伝える価値と美しさを持つ。合掌造りとは、釘などの金物は一切使わず、2本の木材を逆V字形に組み合わせて造る叉首(さす)構造で、切妻造りの茅葺き屋根の家屋をいう。60度もの急勾配の屋根は、雪を滑り落ちやすくし、雨水を流し、屋根の茅を守るための工夫である。30~40年に一度行われる屋根の葺き替えは、古くから伝わる共同体の相互扶助組織「結(ゆい)」によって行われてきた。一般の日本家屋にくらべ、床面積が広く天井も高く、内部は3~5階の造りになっており、2階以上は蚕(さん)室や糸紡ぎなどの作業場で、そこに20~40人の大家族が住んでいた。大きな合掌造りの家屋は、屋内空間を最大限に生かす、山村生活の知恵を反映させた構造を持っている。この合掌造りの集落は、豪雪地帯に暮らす人々の知恵が育んだ独特の文化遺産として評価され、世界遺産に登録された。◇英名はHistoric Villages of Shirakawa-go and Gokayama

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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