白根山(草津)(読み)しらねさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白根山(草津)」の意味・わかりやすい解説

白根山(草津)
しらねさん

群馬県北西部、長野県境付近にある活火山。標高2160メートル。日光白根に対して、草津白根とよぶ。おもに安山岩の複合成層火山で、米無山(こめなしやま)(1871メートル)、本白根山(もとしらねさん)(2171メートル)、白根山(2160メートル)が南北に並ぶが、1805年(文化2)を皮切りに、1982~1983年(昭和57~58)まで、歴史時代の14回の噴火は白根山の水蒸気爆発に限られた。本白根山との鞍部(あんぶ)にある爆裂火口、弓池(ゆみいけ)での1902年(明治35)の噴火以外は、すべて頂部にある一連の涸釜(かれがま)、湯釜、水釜(みずがま)の3爆裂火口の内外でおき、ほとんどが湯釜であった。とくに1932年(昭和7)には、噴石で硫黄(いおう)採掘人夫2人死亡、7人負傷し、泥流も生じた。湯釜は直径約300メートルで、黄青色の熱湯(pH1.1の強酸性)をたたえ、硫化水素や水蒸気を放出し、湖底に硫黄を堆積(たいせき)している。この火山の山腹山麓(さんろく)は、殺生河原(せっしょうがわら)などの硫気変質地帯や、草津、万座(まんざ)などの硫黄泉に富む。硫黄鉱床も多いが、石油からの回収硫黄に押され、1971年閉山された。上信越高原国立公園に属するが、第二次世界大戦後、自動車道路、ロープウェーなどが整備され、とくに1965年に志賀草津道路が全通し(現、国道292号)、観光登山客が激増した。冬もスキー客でにぎわう。火山活動監視のため地震計が常置され、前橋地方気象台で遠隔記録されている。

諏訪 彰]


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