精選版 日本国語大辞典 「白波の・白浪の」の意味・読み・例文・類語
しらなみ‐の【白波の・白浪の】
枕
① 「白波」の「しら」と類音の「しろ」を含む「いちしろし」にかかる。一説に、白く立つ波の鮮明な印象からという。
② 白波が寄る意で、「寄る」と同音の「夜」「夜夜(よるよる)」などにかかる。
※兼輔集(933頃)「白波のよるよるごとになぐさまば袖の干る間は我も知りなむ」
③ 白波が立つの意でかかる。
(イ) 「立つ」と同音を含む「たづき」にかかる。
※曾丹集(11C初か)「しらなみのたづきありせばすべらぎの大宮人となりもしなまし」
※重之集(1004頃)上「しらなみの立田の川を出でしよりのち悔しきは舟路なりけり」
④ 白波がうち寄せる意で、「うち寄せる」の「うち」と同音の接頭語「うち」を含む「うちしきり」「うち寝る」などにかかる。
※拾遺(1005‐07頃か)恋四・八五一「しらなみのうちしきりつつ今宵さへいかでか一人寝(ぬ)るとかや君〈よみ人しらず〉」
⑤ 白波の引いたあとの意で、「あと」「なごり」にかかる。
※後撰(951‐953頃)恋四・八八六「何にかは袖の濡るらん白浪のなごり有るけも見えぬ心を〈大輔〉」
⑥ 白波の波折(なおり)(=波が折り重なって高くもり上がること)の意で、「波折」の「折」と同音の「折」にかかる。
⑦ 白波が寄せる浜の意で、「浜松」(一説、「浜」)にかかる。
※万葉(8C後)一・三四「白浪乃(しらなみノ)浜松が枝(え)の手向け草幾代までにか年の経ぬらむ」
※基俊集(1142頃)下「白浪のいらごが島の忘れ貝人忘るとも我忘れめや」
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