百済寺(滋賀県)(読み)ひゃくさいじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「百済寺(滋賀県)」の意味・わかりやすい解説

百済寺(滋賀県)
ひゃくさいじ

滋賀県東近江(おうみ)市百済寺町にある天台宗の寺。山号釈迦山(しゃかざん)。久多良(くだら)寺ともいい、湖東三山の一つ。本尊は十一面観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)。推古(すいこ)天皇時代、百済(くだら)からの移住者が山麓(さんろく)に住し、聖徳太子が百済僧道欣(どうきん)、観勒(かんろく)、高句麗(こうくり)僧恵慈(えじ)などのために建立したと伝える。中世、僧兵を擁し、多くの塔頭(たっちゅう)を構え、勢威を振るったが、1573年(天正1)近江(おうみ)守護大名六角氏を後援したため、織田信長に焼き尽くされた。のち豊臣(とよとみ)秀吉、徳川氏、井伊氏により復興され、1650年(慶安3)本堂仁王門山門が建立された。絹本著色日吉山王(ひえさんのう)神像(鎌倉時代)、紺紙金泥妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)、金銅唐草文磬(けい)(平安時代)、銅鑼(どら)、鈸子(はっす)など国の重要文化財がある。本坊喜見院(きみいん)庭園は池泉回遊かつ観賞式庭園。

[田村晃祐]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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