百足・蜈蚣(読み)むかで

精選版 日本国語大辞典 「百足・蜈蚣」の意味・読み・例文・類語

むかで【百足・蜈蚣】

〘名〙
① ムカデ綱(唇脚類)のうちゲジ類を除く節足動物の総称。体は扁平で細長く、体長は三~三〇センチメートルぐらい。頭部と、多数の環節からなる胴とに分かれる。頭部には一対の触角単眼(まれに無眼)および毒腺を備えたあごがあり、各体節に一対の歩脚を持つ。一般に夜行性で、山野の腐植土に多く、小昆虫やミミズ捕食。雌雄異体。生殖腺は後端に開き、前端に開くヤスデ類と異なる。歩脚が一五対のイシムカデ、二三対のアカムカデ、一七三対のジムカデなど種類が多く、世界に約二〇〇〇種知られる。人に害を与えることは少ないが熱帯地方にすむ種は毒が激しく、有害。中国・朝鮮では乾燥して強壮剤に、日本では油に浸して切り傷などの薬にされる。ゲジ類を含めていうこともある。昔、怪異な動物と見なされて大百足など奇談が多く、毘沙門天の使いと信じられていた。はがち。ひゃくそく。《季・夏》
※古事記(712)上(兼永本訓)「亦赤(あく)る日(ひ)の夜は呉公(ムカテ)と蜂(はち)との室に入れ」
※雑俳・柳多留‐五八(1811)「金(かね)入れで百足折々しゃがれ声」
③ 紋所の名。①を図案化したもの。子持ち百足、一つ百足の丸などがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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