日本大百科全書(ニッポニカ) 「盆(道具)」の意味・わかりやすい解説
盆(道具)
ぼん
物をのせて持ち運びするための道具の一つ。底が平たく、縁は浅いのが特徴である。盆は古くは盤(ばん)と称されていたもので、現在の盆のように平らなものから、高坏(たかつき)のように高台(こうだい)のついたもの、盛り器のように縁の深いものまで含まれていたようである。また用途も、現在のように物を運ぶだけでなく、その上に直接物を盛ったり、食卓として、あるいは配膳(はいぜん)用としてなど、多様に使用していたようである。盆の名称が盤にかわって一般に用いられるようになったのは、室町時代中期ごろであろうといわれている。
盆は、材質や形により各種のものがあるが、一般には用途によって、銘々盆、菓子盆、茶盆、給仕盆、洋酒盆などとよばれている。形は円形、楕円(だえん)形、方形、長方形などが多いが、半月形、扇形などもある。また、組み重ね式、入れ子式など、収納を便利にした形態のものもある。材質は、昔は木製の漆塗りが多かったが、現在は、銀、ステンレス、竹、プラスチック、陶器などさまざまなものが出回っている。
[河野友美]