日本大百科全書(ニッポニカ) 「直島(町)」の意味・わかりやすい解説
直島(町)
なおしま
香川県北部、香川郡の町。瀬戸内海中央部の直島諸島のほぼ全域からなる。1954年(昭和29)町制施行。直島の宮浦港が交通の中心で、宇野港・高松港からの定期船便がある。また、2002年(平成14)から町営バスが運行されている。町の中心である直島は、漁業、製塩を生業としてきたが、1917年(大正6)三菱(みつびし)の中央製錬所(現、三菱マテリアル直島製錬所)設置以来、工業の町として発展してきた。島民のほぼ半数は製錬所やその関連企業の従業員と家族。農業は小規模で、自家消費程度。漁業はノリやハマチ、タイの養殖が行われる。瀬戸内海のほかの島と同じく水不足に悩まされていたが、1970年(昭和45)に岡山県玉野市から海底パイプによる給水が実現した。直島南部は美しい自然の中にリゾート施設がつくられた。地中美術館、李禹煥(リウファン)美術館などがある。喜兵衛島(きへえじま)には古代の製塩遺跡があり、国史跡に指定されている。直島女文楽(おんなぶんらく)は全国でも珍しい女性だけで演じる伝統芸能で、県指定の無形民俗文化財。面積は14.22平方キロメートル(境界一部未定)、人口3103(2020)。
[新見 治]
『『直島町史』(1990・直島町)』