相似(数学)(読み)そうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「相似(数学)」の意味・わかりやすい解説

相似(数学)
そうじ

一つの図形を一定点を中心として一定の比に拡大あるいは縮小してできる図形と、初めの図形とは相似位置にあるといい、その定点を相似の中心、一定の比を相似比という。一般に、二つの図形の一方が、他方を拡大あるいは縮小してできる図形と合同のとき、二つの図形は相似であるという。このとき、拡大あるいは縮小の比をこの二つの図形の相似比といい、一方を他方の相似形という。相似比が1である相似な二つの図形は合同である。二つの図形A、Bが相似であるとき記号A∽Bで表す。辺の個数が同じである二つの多角形で、一方の内角が順次他方の内角と等しく、さらに対応する辺の比が一定であるならば、この二つの多角形は相似である。したがって、辺の個数が同じである二つの正多角形は相似である。

[柴田敏男]

三角形の相似条件

二つの三角形が相似であるための条件は三つある。角角角の相似、辺角辺の相似、辺辺辺の相似の三つである。(1)二つの三角形の対応する二角がそれぞれ等しいとき、残りの角も等しくなり、二つの三角形は相似である。これが角角角の相似である。(2)辺角辺の相似とは、二辺の比とその挟む角が等しい二つの三角形は相似となることで、二辺夾角(きょうかく)の相似ともいう。(3)辺辺辺の相似とは、対応する辺の比が三つとも等しいという条件である。

 二つの三角形が相似であることと、円周角定理平行線と比例関係の性質を用いて、いろいろな平面図形の性質が導かれる。たとえば、方べきの定理、チェバの定理、トレミーの定理などである。

 二つの相似な図形では、対応する線分の比は相似比に等しい。二つの相似な平面図形では、対応する部分の面積の比は相似比の二乗に等しく、二つの立体図形では、対応する部分の体積の比は相似比の三乗に等しい。

[柴田敏男]


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百科事典マイペディア 「相似(数学)」の意味・わかりやすい解説

相似(数学)【そうじ】

二つの図形F,F′の各点が1対1に対応し,任意の対応する点P,P′を結ぶ直線がすべて1点Oで交わり,OPとOP′の比が一定値kとなるとき,F,F′はOを中心として相似の位置にあるといい,Oを相似の中心,kを相似比という。二つの図形G,G′を適当に移動して相似の位置におくことができれば,G,G′は互いに相似(k=1のときは合同)であるという。二つの多角形が相似なら,対応する角の大きさは互いに等しく,対応する辺の長さの比はすべて等しい。

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