知識・智識(読み)ちしき

精選版 日本国語大辞典 「知識・智識」の意味・読み・例文・類語

ち‐しき【知識・智識】

〘名〙
① 知恵と見識。ある事柄に対する明確な意識と判断。また、それを備えた人。
※金剛場陀羅尼経巻一跋(686)「川内国志貴評内知識、為七世父母及一切衆生、敬造金剛場陁羅尼経一部」
② (━する) 理解すること。認識すること。また、その内容や事物
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)一「かくのこときは、衆に知識(チシキ)せられたる(〈注〉オホクノヒトニシラレタル)大阿羅漢等なり」
③ 知っている内容。知られていることがら。
小学読本(1884)〈若林虎三郎〉四「願くは時々手紙を往復して相思の情を慰め且互に見聞を広め知識を交換せむと」
④ 知っている人。見知っている人。親しくしている人。知人。知己。友人。朋友
※観智院本三宝絵(984)中「即おおきに尊び悲びて国内に知識をとなへて我よりはじめて」
※授業編(1783)九「みだりに知識(チシキ)にもあらぬ人ゑ寿賀の詩文を請求して」 〔管子‐入国〕
⑤ 仏語。
(イ) 仏道を説いて人を導き、仏縁を結ばせる人。法の上の善友。徳の高い僧。高僧。善知識。
※内閣文庫所蔵摂津国古文書‐建久七年(1196)六月三日・太政官符案「勧進之行、恐同心之人、是以殊被宣下、欲知識
※俳諧・己が光(1692)「ある知識ののたまはく、なま禅大疵のもとひとかや、いとありがたく覚て 稲妻にさとらぬ人の貴さよ〈芭蕉〉」
(ロ) 仏像や堂塔などの造立に、金品を寄進して助けること。その事業に協力すること。また、その人や、その金品。奉加。勧進。知識物。
※続日本紀‐天平一五年(743)一〇月辛巳「十月十五日、発菩薩大願盧舎那仏金銅像一躯。〈略〉広及法界。為朕知識
今昔(1120頃か)三一「一人の聖人有て、〈略〉普(あまね)く諸の人を催て、知識と云事を以て其の橋を渡してけり」
⑥ (knowledge Wissen の訳語) 哲学で、認識活動によって得られ、客観的に確証された成果。広義には、諸事物について経験によって得られた断片的な事実認識もすべて含むが、狭義には、これらの事実認識を統一的に組織づけ、普遍的な妥当性を要求できるように整えられた命題の体系。〔附音挿図英和字彙(1873)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android