石油先物取引(読み)せきゆさきものとりひき(英語表記)oil futures trading

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

公設の取引所において、将来の一定期日に一定価格で原油や石油製品の売買を約束する取引のこと。一般的に、商品先物取引は市場価格の変動に対応して、リスクヘッジ(価格上昇・下落によるリスクを避けること)や投機の手段として活用され発達する場合が多い。
 石油先物取引は、国際石油市場の需給が緩和基調となるなか、1983年にニューヨーク商品取引所(NYMEX(ナイメックス))でアメリカ産ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油が上場されて以来、急速に発達した。
 NYMEXでは原油のほかにガソリン、軽油、天然ガスなどが上場され、イギリスの国際取引所(ICE)でも原油(北海ブレント原油)、軽油などが上場され取引が行われている。NYMEXとICEでの原油先物取引は石油の現物決済を伴わないペーパー取引を中心に活発に行われ、NYMEXの原油先物取引高合計は、2008年には1日当り5億3231バレルと、世界の石油需要(2008年は1日当り約8500万バレル)を大幅に上回る活況を呈している。こうして、大きな取引高に支えられている先物取引で決定される価格は、国際石油市場での価格指標となっており、今日ではNYMEX、ICEでの原油先物価格に連動して国際石油市場での原油価格が決定されるメカニズムになっている。日本でも先物取引における価格透明性と価格発見機能に期待して、1999年(平成11)7月に東京工業品取引所が、そして2000年(平成12)1月に中部商品取引所が、石油先物取引市場を開設した。その後、商品取引所の解散・統合に伴い、2013年時点では東京商品取引所(東京工業品取引所が2013年2月に改称)により石油取引が行われている。
 このように、世界の石油市場での価格決定に大きな役割を果たしている石油先物取引であるが、2008年7月までの原油価格高騰とその後の急落に代表される著しい価格変動に対して、石油先物取引における投機的な資金の流入が大きく影響したのではないか、との見方が広まった。投機的な取引による影響については、規制当局も関心を強め、アメリカ商品取引委員会CFTCなどを中心に、取引高(建玉(たてぎょく))制限や取引状況に関する透明性の向上に向けた取組みが検討されている。[小山 堅]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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