石油輸出国機構(読み)セキユユシュツコクキコウ(英語表記)Organization of Petroleum Exporting Countries

デジタル大辞泉 「石油輸出国機構」の意味・読み・例文・類語

せきゆゆしゅつこく‐きこう【石油輸出国機構】

オペック(OPEC)

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精選版 日本国語大辞典 「石油輸出国機構」の意味・読み・例文・類語

せきゆゆしゅつこく‐きこう【石油輸出国機構】

(Organization of Petroleum Exporting Countries の訳語) 一九六〇年イラクの招請で、イランクウェートサウジアラビアベネズエラの五か国で結成した、原油輸出価格の調整などを目的とする協議会、その後カタールインドネシアリビアアブダビアラブ首長国連邦)、アルジェリアナイジェリアエクアドルガボンが加盟したが、九二年にエクアドル、九五年にガボンが脱退。略称OPEC(オペック)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石油輸出国機構」の意味・わかりやすい解説

石油輸出国機構
せきゆゆしゅつこくきこう
Organization of Petroleum Exporting Countries

1960年に創設された主要産油国のグループのこと。通称OPEC(オペック)。創設メンバーはベネズエラ、サウジアラビア、イラン、イラク、クウェートの5か国。その後、脱退や再加盟などの曲折はあったが基本的に加盟国が拡大し、2021年9月時点での加盟国は13か国(創設メンバーおよびアルジェリア、アンゴラ、コンゴ共和国、赤道ギニア、ガボン、リビア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦)。本部はウィーンにある。

 設立当初の目的は、当時産油国に対して大きな影響力を行使していた石油メジャー各社(「セブン・シスターズSeven Sisters」ともよばれた)に対抗するためだったが、1970年代の石油危機オイル・ショック)の時期を契機に、石油市場全体への支配力を強め、その後の原油価格変動に対応するための生産調整を行う産油国グループとしての機能を明確化していった。加盟国の多くは石油収入に依存していることから、原油価格が下がりすぎると国家運営に支障をきたすため、協力して減産を行う。他方、原油価格が高くなりすぎると当座の石油収入は増加するが、世界経済への打撃になり、長い目でみた石油離れを引き起こす懸念が高まるため、増産を行って市場の安定化を図る。

 OPECは1980年代以降、国際石油市場での需給安定化のための生産調整を続けている。加盟国間の協力が重視される一方、加盟国のなかで最大の影響力をもつのは「OPECの盟主」といわれるサウジアラビアである。サウジアラビアは世界最大の石油生産能力と輸出量、そして余剰生産能力をもつことで、国際石油市場における需給調整できわめて重要な役割を果たしている。

[小山 堅 2022年1月21日]

OPECプラス

1980年代以降、OPECは市場安定化のための需給調整を続けてきたが、OPEC以外の産油国、非OPECの生産量が拡大し、OPECの市場シェアは低下してきた。そのため、市場安定化の実現にはOPECが結束して対応するのみならず、主要な非OPEC産油国にも協力をよびかけ、協調して減産に取り組む必要が出てきた。その重要な契機になったのは、シェール革命によるアメリカの石油大増産が国際石油市場に供給過剰をもたらし、2014年後半以降に原油価格が暴落したことである。原油価格の低迷はその後も続き、ついに2016年にOPECとロシアなどの非OPEC産油国が、2017年以降協調して減産を実施する体制が形成された。この協調減産に加わる産油国グループをOPECプラスとよぶ。

 2017年以降、原油価格の安定に関しての主役は、OPECプラスとなった。なかでも、サウジアラビアとロシアの協力が重要である。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)がパンデミックとなって世界を襲い、石油需要が大幅に減少した2020年には、原油価格が暴落した。まさにそのとき、サウジアラビアとロシアの意見が対立してOPECプラスの協調が崩壊したため、暴落がさらに悪化した。しかし、OPECプラスは再度協調を取り戻し、2020年5月以降、史上最大規模となる日量1000万バレルの協調減産を開始、市場の安定化に重要な役割を果たした。

[小山 堅 2022年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石油輸出国機構」の意味・わかりやすい解説

石油輸出国機構
せきゆゆしゅつこくきこう
Organization of Petroleum Exporting Countries; OPEC

原油の生産・供給調整や価格政策などを通じて産油国の利益を団結して守ることを目的とする石油生産国カルテル機構。1960年9月国際石油資本(メジャーズ)の中東原油公示価格引き下げ発表に対抗して,サウジアラビア,イラン,イラク,クウェート,ベネズエラの五大産油国がイラクのバグダードで創設を決定。その後カタール,インドネシア,リビア,アブダビ(1971年,アラブ首長国連邦が権利義務を継承),アルジェリア,ナイジェリア,エクアドル,ガボンが加盟した。1993年にエクアドル,1996年にガボンが脱退したが,2007年にエクアドルが再加盟,アンゴラが新規加盟した。2009年1月にはインドネシアが一時脱退し,2012年現在 12ヵ国で構成されている。1973年の第1次石油危機,1979年の第2次石油危機を通じて原油価格引き上げを獲得した(→石油危機)。しかし原油価格高騰によって 1980年代以降,世界的な石油需要の減退と OPEC非加盟国の石油開発が進み,加盟国は生産調整を余儀なくされた。さらに 1990年代以降,原油価格が先物市場を中心に決定されるようになり,OPECの市場支配力は弱まったが,21世紀初めには非加盟国とも協調し原油価格を上昇させた。化石燃料の消費による地球温暖化が問題となるなか,環境問題への取り組みも行なっている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「石油輸出国機構」の解説

石油輸出国機構
せきゆゆしゅつこくきこう
Organization of Petroleum Exporting Countries

世界の主要な石油輸出国が,石油政策を調整し,産油国の石油収入を増大させる目的で結成した国際機構。略称OPEC
1960年,国際石油資本が中東の原油公示価格の引下げを発表したのに対抗するため,イラクのよびかけでサウジアラビア・ベネズエラ・イラン・イラク・クウェートの5大産油国が設立。のちカタール・インドネシア・リビア・アルジェリア・アブダビ・ナイジェリア・エクアドルが加わって12か国となった。1970年代にはいると,国際石油資本への対抗を強化し,73年10月,第4次中東戦争を支援するため,クウェート会議で原油価格を70%引き上げた。この石油戦略は,アラブ石油輸出国機構(OAPEC (オアペツク) )による親イスラエル国への供給制限とあいまって効果をあげ,世界的な石油危機をもたらした。1980年代にはいると,メキシコ・イギリス・ノルウェーなど非OPEC諸国の産油量が増えたため,石油価格が下落して,OPEC諸国のなかからも対外債務の増加する国が出てきた。

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知恵蔵 「石油輸出国機構」の解説

石油輸出国機構

OPEC」のページをご覧ください。

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旺文社日本史事典 三訂版 「石油輸出国機構」の解説

石油輸出国機構
せきゆゆしゅつこくきこう
Organization of Petroleum Exporting Countries

略称OPEC。欧米の国際石油資本に対抗して発言権を拡大するために結成された石油輸出国の機構
1960年,イラン・イラク・サウジアラビア・クウェート・ベネズエラの5大石油輸出国会議で設立された。加盟国は中東諸国を中心に,インドネシアなど12カ国。2度の石油危機を通じて価格を大幅に引上げ,産油量と価格の決定権をもつようになった。しかし,'80年代に入ると石油需要の減少により,価格引下げや減産体制に追い込まれ,結束がゆるんでいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「石油輸出国機構」の意味・わかりやすい解説

石油輸出国機構 (せきゆゆしゅつこくきこう)

OPEC(オペック)

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百科事典マイペディア 「石油輸出国機構」の意味・わかりやすい解説

石油輸出国機構【せきゆゆしゅつこくきこう】

OPEC(オペック)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「石油輸出国機構」の解説

石油輸出国機構
せきゆゆしゅつこくきこう

OPEC(オペック)

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世界大百科事典(旧版)内の石油輸出国機構の言及

【OPEC】より

…Organization of Petroleum Exporting Countriesの略称。石油輸出国機構と訳される。1960年9月,イラン,イラク,サウジアラビア,クウェート,ベネズエラの5ヵ国が,イラクのバグダードで開催した会議で結成された。…

※「石油輸出国機構」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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