硝酸鉛(読み)しょうさんなまり(英語表記)lead nitrate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸鉛」の意味・わかりやすい解説

硝酸鉛
しょうさんなまり
lead nitrate

鉛の硝酸塩酸化鉛(Ⅱ)PbOや鉛白Pb(OH)2・2PbCO3または金属鉛硝酸に溶かして得られる。無色結晶。470℃以上で酸化鉛(Ⅱ)と二酸化窒素とに分解する。濃硝酸には溶けにくい。水に溶ける。水酸化アルカリにより水酸化鉛(Ⅱ)を沈殿するが、過剰に溶けて亜鉛(あなまり)酸塩となる。顔料製造原料、マッチ爆薬防腐剤収斂(しゅうれん)剤、染色試薬などの用途がある。

[守永健一・中原勝儼]

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改訂新版 世界大百科事典 「硝酸鉛」の意味・わかりやすい解説

硝酸鉛 (しょうさんなまり)
lead nitrate

一般に硝酸鉛(Ⅱ),化学式Pb(NO32を指す。Pb(NO34は不安定で単離されていない。鉛,酸化鉛(Ⅱ),炭酸水酸化鉛(Ⅱ)(鉛白)を硝酸に溶解し,溶液を蒸発して乾固すると無色の立方晶系または単斜晶系に属する結晶として得られる。比重4.53(20℃)。加熱すると470℃で分解して酸化鉛(Ⅱ)になる。水には比較的よく溶け(100gの水に20℃で56.5g,100℃で135g),水溶液は弱酸性を示す。液体アンモニアヒドラジンなどにもよく溶ける。溶液は導電性があり,これらの溶媒中でもイオンが生成していることを示している。濃硝酸には難溶。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸鉛」の意味・わかりやすい解説

硝酸鉛
しょうさんなまり
lead nitrate

化学式 Pb(NO3)2 。無色結晶。熱すると 470℃で分解する。有毒。水,アルコールに可溶,濃硝酸に不溶。マッチ,爆薬の製造,染色の媒染剤染料工業での酸化剤などとして使用される。

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