精選版 日本国語大辞典 「硫酸紙」の意味・読み・例文・類語
りゅうさん‐し リウサン‥【硫酸紙】
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羊皮紙に似ることから植物性羊皮紙vegetable parchment,パーチメント紙とも呼ばれる。半透明の薄い紙で無味・無臭であり,緻密(ちみつ)な組織をもっているので,耐油性,耐水性がある。その性質を利用してバター,チーズ,肉類などの包装に用いる。古くは木綿ぼろから作り,サイズを施さない紙であったが,現在では質量40~80g/m2のさらしクラフトパルプから作る。まずシートを濃度62~68%の硫酸で処理してセルロースを膨潤させたのち,順次低濃度硫酸で処理し,十分水洗して脱酸してから乾燥する。イギリスのグレインE.Graineにより1853年に初めて作られたが,工業的に製造されたのは58年にパリに工場ができてからである。通常の紙は中空構造の木材繊維から構成されていて空隙を多くもつが,硫酸紙では硫酸によって繊維が膨潤して繊維表面はゼリー状になり,空隙がほとんどなくなる。その結果,光が散乱されず半透明になり,液体の浸透を防ぐことができる。
執筆者:臼田 誠人
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