確・聢(読み)しっかり

精選版 日本国語大辞典 「確・聢」の意味・読み・例文・類語

しっかり【確・聢】

〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 物事・状態が堅固で、また、たしかなさまを表わす語。
(イ) 土台や構成が堅固で安定しているさま。「会社の経営基盤がしっかりしている」 〔詞葉新雅(1792)〕
洒落本辰巳婦言(1798)昼遊の部「しっかりとした商人のひとりむすこ」
(ロ) 記憶・判断の仕方が確実であるさま。
歌舞伎お染久松色読販(1813)中幕「しっかり顔も覚へていれど」
(ハ) 人の技量・性質・考え方などが堅実でたよれるさま。また、倹約家、一徹者を軽くあざけっていう際にも用いる。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「男といふものは、もっと仡然(シッカリ)としてもらひたかった」
(ニ) 心がひきしまっているさま。意識が確かなさま。
※浪花聞書(1819頃)「しッかり しっかりせいなと云也」
軍歌戦友(1905)〈真下飛泉〉「『しっかりせよ』と抱き起し」
(ホ) かたくついて離れなくするさま。かたく。がっちり。
人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「丹次郎の顔をながめて、釣さがるやうに左の手に両方の手をかけて、しっかりと引れながら」
婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「始から確乎(シッカリ)握った袂を」
(ヘ) 仕事・勉強などを熱心・着実に行なうさま。
浄瑠璃日高川入相花王(1759)二「明日迄は延(のば)されぬけふの細布、しっかりと受け取りました」
※わかれ道(1896)〈樋口一葉〉中「勉強をしなけりゃあ成らないよ、しっかり遣ってお呉れ」
(ト) 物の関係・度合いなどが、はっきりとしているさま。
古今集遠鏡(1793)一「宇治山の僧喜撰は、詞がおくふかうて、そして始めとはてとのつりあひがしっかりとせぬ」
(チ) 商取引で、市場に活気があり、相場が上がり気味なさま。⇔ぼんやり。〔商業経済辞典(1938)〕
② 物が豊富であったり、状態がはなはだしかったりするさまを表わす語。
(イ) たくさんあるさま。ぎっしり。十分。
※洒落本・契国策(1776)南方「旦那もやぼじゃないしっかりと酒てを下さるはしれた事だ」
※人情本・清談若緑(19C中)初「定めて御馳走悉皆(シッカリ)あるだらう」
(ロ) 程度のはなはだしいさま。ひどく。まったく。すっかり。
※歌舞伎・桜姫東文章(1817)大詰「エエ、嘘だ嘘だ。しっかり嘘だ」
毒虫などにさされて痛むさま、また、湯などの熱いさまを表わす語。〔かた言(1650)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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