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磁気圏 じきけん magnetosphere

翻訳|magnetosphere

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

磁気圏
じきけん
magnetosphere

電離層の上から地球大気の限界までの,地表からおよそ 10万 kmの範囲の領域をいう。この領域の気体は高エネルギーの陽子と電子が主成分であり他に電離した水素ガスから成る比較的低エネルギープラズマから成る。

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デジタル大辞泉の解説

じき‐けん【磁気圏】

地球大気の最上層部。大気はほとんど電離しているが、帯電粒子の運動が地球磁場に支配されている領域で、地球に吹きつける太陽風が地球磁場の影響で侵入できない範囲をいう。

じきけん[人工衛星]

昭和53年(1978)9月に打ち上げられた科学衛星EXOS-B(エクソスビー)の愛称。東京大学宇宙航空研究所(後の宇宙科学研究所、現JAXA(ジャクサ))が開発。名称は地球の「磁気圏」に由来する。近地点遠地点が大きく異なる楕円軌道をとり、磁気圏のプラズマと波動の相互作用などを観測した。昭和60年(1985)に運用終了。

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百科事典マイペディアの解説

磁気圏【じきけん】

地球磁場の勢力範囲。太陽から惑星空間に吹き出ている高速のプラズマ流(太陽風)のために,地球磁場はある有限の領域に閉じこめられており,この空間を磁気圏,あるいは地球磁気圏と呼んでいる。
→関連項目気圏超高層大気

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世界大百科事典 第2版の解説

じきけん【磁気圏 magnetosphere】

太陽からたえず惑星間空間に吹き出ている水素イオン(陽子)や電子など高速のプラズマ流(太陽風)により,地球磁場はある有限な領域に閉じ込められている。このいわば地球磁場の勢力範囲ともいうべき空間を地球の磁気圏という。磁気圏は,地球ばかりではなく磁場をもつ水星,木星,土星などの惑星の周辺にも存在し,強い磁場をもつ木星や土星は巨大な磁気圏で囲まれていることが,パイオニア10,11号,ボエジャー1,2号の観測で明らかにされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

磁気圏
じきけん
magnetosphere

太陽から絶えず惑星間空間に吹き出ている太陽風により、地球磁場はある有限な領域に閉じ込められている。この地球磁場に支配される空間を地球磁気圏という。磁気圏は、地球ばかりではなく、水星、木星、土星、天王星海王星などの磁場をもつ惑星の周辺にも存在する。強い磁場をもつ木星や土星は巨大な磁気圏で囲まれていることが、パイオニアやボイジャーなどによる直接探査で明らかになった。[國分 征]

地球磁気圏の形

地球の磁気圏の形は、太陽風の動圧と磁気圏磁場の圧力との平衡でほぼ決まっている。太陽風に面した部分の形は回転楕円(だえん)体に近い。磁気圏境界面magnetopauseは、先端にあたる正午付近では、地球の中心から約10Re(Reは地球半径のこと。6370キロメートル)、朝側と夕方側では約15Reの距離にある。夜側は、太陽風によって彗星(すいせい)の尾のように引き伸ばされている。地心距離240Re付近までの領域は、科学衛星によって直接観測が行われている。1992~94年(平成4~6)には、日本の磁気圏探査衛星GEOTAIL(ジオテール)により精密な観測が行われ、220Re付近まではつねに尾部が存在することが確かめられている。尾部の直径は120Re付近までは徐々に広がり、それより遠くでは約60Reである。さらに遠い領域の詳しい観測はまだなされていないが、2000~3000Reの距離まで吹流しのように伸びていると考えられている。
 磁気圏は太陽風プラズマが直接侵入しえない領域なので、太陽風からみれば障害物となる。太陽風は超音速で流れているので、超音速で気体中を進む物体の前面に衝撃波が発生するように、磁気圏前面には定在衝撃波ができて、双曲面に近い形で張り付いている。この衝撃波と磁気圏境界面の間は、磁気シースmagnetosheathとよばれ、乱れた磁場が観測される。衝撃波を通過した太陽風プラズマは磁気圏前面で圧縮されて温度が上がり、磁気圏の側面を通過しふたたび速度を上げながら流れ去る。
 磁気圏境界面には、太陽風の動圧と磁気圧の平衡条件で決まる電流が流れている。この電流は昼側では東向きに流れ、地上の磁場を強める効果を与え、太陽風の動圧が増加すれば磁気圏はさらに圧縮され、地上の磁場は強まる。尾部南北半球の境界面上では、電流は夕方側から朝側に流れ、赤道付近で磁気圏内に流れ込み、赤道域を朝側から夕方側の方向に貫き8の字状に閉じている(図A)。
 太陽風と磁気圏プラズマの境界をなす磁気圏境界面は、単なる面ではなく、場所によって異なる性質を示す層状構造になっている。磁気圏境界面には、風が吹いたとき水面に漣(さざなみ)が立つように電磁的な乱れやプラズマ波動が発生し、太陽風と磁気圏プラズマが交じり合って流れる境界層ができる。昼側正午を中心として9~15時の領域で、地磁気緯度76~80度付近を通る磁力線で結ばれている領域は、カスプcuspとよばれている。このカスプ領域の中心は、夜側の尾部に向かって開いた磁力線と低緯度側で閉じる磁力線の境界になっている。カスプ領域では、磁場が小さく、磁気シースプラズマが直接磁気圏内に侵入し、磁力線に沿って電離圏に降下する。カスプより低緯度側と高緯度側では境界層構造が異なり、それぞれ低緯度境界層、プラズママントルplasma mantleという。0.4~4Reの厚さをもつプラズママントルでは、カスプ領域から侵入したプラズマの一部が磁力線に沿って尾部の方向に、秒速100~200キロメートルの速さで流れている。[國分 征]

プラズマによる領域区分

磁気圏内部のプラズマは、おもにプロトン(陽子)と電子であるが、酸素原子イオンやヘリウムイオンも存在する。磁気圏プラズマの温度や速度分布は場所により著しく変わるので、これらの特徴により磁気圏をいくつかの領域に分けることができる。
(1)プラズマ圏plasmasphere 地心距離が午前側で約4Re、午後側で約6Reまでの領域は、電離圏から流れ出た比較的温度の低いプラズマによって満たされており、プラズマ圏として他の領域と区別される。プラズマポーズplasmapauseとよばれるプラズマ圏の境界では、密度が急激に変わり、1立方センチメートル当り100~1000個から1~10個まで1桁(けた)以上の減少が0.1Re程度の狭い領域で観測される。プラズマ圏内の低エネルギープラズマは、地球の自転とともに回転している。一方プラズマポーズより外側の領域では、太陽風から供給された電場や運動量により大規模な対流が生じている。この対流によって運ばれる外部磁気圏のプラズマは、夜側へ運ばれると尾部に向かって開いた磁力線上に移動し、効率よく失われるため、プラズマ圏内部に比べて密度が低くなる。プラズマポーズの位置は、この対流運動と共回転のバランスで決まるので、太陽風や惑星間磁場の変化によって対流が強まれば、プラズマポーズは地球側に移動する。
(2)放射線帯radiation belt 約1000キロメートルの高度から地心距離6~7Reにわたる領域に、数十keV(キロ・エレクトロン・ボルト)から数MeV(ミリオン・エレクトロン・ボルト)の荷電粒子群が地球磁場にとらえられていて、地球を帯状に取り巻いている。地心距離1.2~2Reの内帯には、数MeV以上の高エネルギー粒子が安定に捕捉(ほそく)されている。MeV以下の粒子群は3~5Re付近(外帯)に分布し、内帯に比べ変動が大きい。初期の人工衛星観測により、バン・アレンのグループがこれら放射線帯の存在を明かにしたのでバン・アレン帯ともいわれている。地球の周辺に、地表の自然放射線強度の1億倍以上の放射線帯が存在することは、1958年に直接観測されるまでまったく予想されていなかった。地球外から飛来する荷電粒子が直接侵入しえない領域に高エネルギー粒子群が存在していたのである。この発見は人工衛星観測初期の重要な科学的発見として知られている。
 放射線帯を構成する粒子は地球磁場にとらえられ、磁力線に沿って南北に往復運動しながら地球を周回している。プロトンは西向き、電子は東向きに回る。周回の速さはほぼエネルギーに比例し、1周回の周期は数分から数時間程度である。この運動の結果として、放射線帯粒子は地球を環状に取り巻く西向きの電流系(赤道環電流)を形成する。地上で観測される赤道環電流による磁場は、捕捉されている粒子の全エネルギーに比例する。放射線帯粒子の寿命はおもに地球大気で規制され、実験的には2MeVの電子の寿命は内帯付近では約1年、外帯付近では約1か月程度と求められている。放射線帯粒子の大部分は太陽風を起源とする粒子が磁気圏に流入し、内部に運ばれる過程で徐々にエネルギーを獲得したものである。しかし1991年3月におこった大きな磁気嵐の急始変化(フレアなどの太陽面爆発現象により放出されたプラズマ雲の到達を示す最初のシグナル)により、新しい放射線帯ができたことが観測され、放射線帯粒子の加速機構に新たな問題を投げかけた。内帯を構成する高エネルギー粒子群は、宇宙線と大気分子の衝突により生じた中性子の一部が磁気圏に飛び出す途中でプロトン、電子およびニュートリノにβ(ベータ)崩壊し、磁場につかまったものと考えられている。
(3)磁気圏尾部magnetotail 地球の夜側、太陽と反対方向に細長く延びた磁気圏尾部は、プラズマシートplasma sheetとローブlobeの二つの特徴的な領域に分けられる。尾部では、北半球につながる磁力線と南半球につながる磁力線は、ほぼ反平行(大きさが同じで向きが反対)になっているため、尾部赤道付近では磁場強度が非常に小さくなる。磁場がゼロに近くなることから、この赤道付近を磁気中性面ともいう。こうした反平行磁場が安定に存在するためには、磁気中性面を中心としてプラズマが存在し、反平行磁場による磁気圧を支える必要がある。事実、磁気中性面付近には、1立方センチメートル当り0.1~1個の密度をもつ高温プラズマが存在し、プラズマシートとよばれている。この領域のプロトンと電子の平均エネルギーは、それぞれ約5keVと約1keVである。プラズマシートの厚さは、平均的には南北方向に中性面より4Re程度で、朝側、夕側に向かって厚くなっている。プラズマシートの地球側の境界は8~10Reの距離にあり、この境界がオーロラ出現帯の赤道側に対応する。プラズマシート中の平均的な流れは、地球から約120Re付近で地球向きと反地球向きに変わる。プラズマシートの高緯度側、磁気圏境界面までの空間はローブとよばれている。この領域の特徴は、プラズマの密度が著しく小さく、ほぼ1立方センチメートル当り0.05個である。プラズマシートがオーロラ粒子の供給源になっているのに対し、ローブはオーロラ出現帯の高緯度側の極冠領域につながっている。[國分 征]

磁気圏と惑星間磁場

磁気圏は太陽風の変化に対応して絶えず変動している。磁気嵐の開始を告げる急始変化は、太陽面上の爆発現象によって放出された高速プラズマ雲に伴う衝撃波の通過により磁気圏が急激に圧縮され、磁気圏境界面電流が強まることによる。磁気圏が高速プラズマ雲に包まれると、静止衛星(6.6Reの距離にある)が磁気圏外へ出てしまうほど磁気圏が圧縮されることもある。しかし高速、高密度のプラズマ雲により磁気圏が強く圧縮されても、プラズマ雲中の磁場が南向き成分をもっていない場合には磁気嵐は発達しない。つまり、太陽風により運ばれてくる磁場の方向変化が、磁気圏内の変動をもたらす太陽風エネルギーの流入をコントロールしているのである。
(1)磁気リコネクションreconnection 地球磁場は太陽風に対してほぼ一定の方向を向いているが、太陽風が運んでくる磁場は絶えず変動しているので、地球磁場の反対方向、南向きの成分が大きくなることがある。反対方向の成分をもつ磁場が磁気圏にぶつかると、惑星間磁場と地球磁場のつなぎかえ(リコネクション)がおこる。惑星間磁場が南向きの場合、地球磁場は磁気圏の昼側で惑星間磁場とつながり、つなぎかわった磁場は、昼側からはがされて太陽風とともに夜の方向へ運動する。磁気圏プラズマは磁場とともに動くので、磁力線の移動に伴って夜側の磁気圏ではローブからプラズマシートに向うプラズマの流れが生じる。尾部の赤道付近では磁気圏の前面と同様に、方向の異なる磁場が運ばれてくることになるので、プラズマシートの中心部で磁場のリコネクションがおこり、地球向きと反地球向きの流れができる。地球方向に戻る流れは昼側に回り込み、全体として閉じた大きな循環をなし、磁気圏対流ができる。リコネクションによってできた反地球方向に吹き出すプラズマは、太陽風に戻っていく。惑星間磁場が北向きの時もローブの境界域でリコネクションがおこるが、大規模な対流はできない。磁気圏尾部、地心距離120Re付近でプラズマの流れが反転していることが観測で確かめられており、尾部プラズマシートにおけるリコネクションは、平均的には120Re付近でおこることを示している(図B)。
(2)磁気圏嵐 オーロラに代表される磁気圏全体に及ぶ大規模な変動は、磁気圏嵐magnetospheric substormとよばれている。磁気圏嵐を引き起こすために必要なエネルギーは、磁気圏に衝突する太陽風のエネルギーの、たかだか10%程度である。太陽風からのエネルギー流入効率は、磁場のつなぎかえにより決まると考えられている。磁気圏の基底状態ともいうべき、オーロラや地磁気の活動がもっとも静かな状態は、惑星間磁場南北成分が数時間以上プラスの状態になるときに対応する。惑星間磁場が北向きの状況では、極冠地域の一部を除いては変動現象がほとんどみられない状態になる。たとえば、平均的には地磁気緯度67度付近にあるオーロラ出現帯は高緯度に移動し、明るい活動的なオーロラはみられなくなる。惑星間磁場がほぼ1時間以上の時間スケールで南向きに変わると、昼側磁気圏境界面上でリコネクションが進行し、磁気圏は全体として変化する。磁力線は昼側磁気圏からはがされ、磁気圏前面は1Re程度内側に動く。はがされた磁力線は尾部に運ばれ、尾部の直径とローブ磁場の強度が増大する。外部磁気圏には大規模なプラズマの流れが10~20分の時間遅れで励起される。尾部における新たな変化、ローブ磁場の増加と対流電場により外側からプラズマが運ばれ、プラズマシート電流が強くなる。近尾部プラズマシートが薄い層に凝縮されていく。この状態は数十分続き(成長相)、極域ではアーク状のオーロラが徐々に明るさを強めながら赤道側に移動し、磁気圏対流の発達に対応した二つの渦からなる電離圏電流系が強化される。プラズマシートの地球側境界に近い静止軌道付近では磁場が双極子型から尾部型に引き伸ばされる。プラズマシート電流がある程度発達すると、突然1分程度の時間スケールで数百キロメートル(静穏時の厚さの10分の1以下)まで圧縮された薄いプラズマシート層が崩壊し、電流が減少、伸ばされていた尾部の磁力線は赤道近くでは地球方向に、高緯度では外側に動き、双極子型の磁場に戻っていく。近尾部(地心距離22~30Reの領域)ではリコネクションを伴った激しい変動がおこる。これに対応して極域では活発なオーロラ活動や激しい磁場変動が観測される(拡大相)。磁気圏嵐は、1~3時間の時間スケールでおこる現象である。[國分 征]
『赤祖父俊一著『オーロラ 地球をとりまく放電現象』(1975・中央公論社) ▽小口高著『神秘の光オーロラ』(1978・日本放送出版協会) ▽前田坦著『太陽惑星環境の物理学』(1982・共立出版) ▽NHK取材班著『多重バリアーが守る生命の星 大気圏・磁気圏』(1987・日本放送出版協会) ▽早川正士著『宇宙からの交響楽 超高層プラズマ波動』(1993・コロナ社) ▽立花隆著『宇宙・地球・生命・脳 その原理を求めて』(1999・朝日新聞社) ▽西田篤弘著『宇宙空間への招待』(岩波新書) ▽赤祖父俊一著『オーロラ その謎と魅力』(岩波新書)』

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