禊教(読み)みそぎきょう

精選版 日本国語大辞典 「禊教」の意味・読み・例文・類語

みそぎ‐きょう ‥ケウ【禊教】

〘名〙 神道十三派一つ教祖井上正鉄(まさかね)創始で、明治五年(一八七二)に門人坂田鉄安が身禊講社を設立し、同二七年禊教として独立した。教祖は白川伯家の神道相伝をうけ、禊祓による安心立命教旨とする。

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デジタル大辞泉 「禊教」の意味・読み・例文・類語

みそぎ‐きょう〔‐ケウ〕【×禊教】

教派神道の一。井上正鉄いのうえまさかねを祖とし、明治初期に教団化。明治27年(1894)に一派独立。生活と密着した教義を有し、禊祓みそぎはらえを重視する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「禊教」の意味・わかりやすい解説

禊教
みそぎきょう

神道(しんとう)教団の一つ。旧教派神道十三派の一つ。武蔵(むさし)国(東京都)梅田神明宮の神職井上正鉄(まさかね)が教祖。その教化活動が幕府より嫌疑を受け三宅(みやけ)島に配流となった正鉄が1849年(嘉永2)に同島で死去したのち、弟子たちがその教えを各地に広める。これは大きく二つのグループとなり、東宮千別(とうぐうちわき)(1833―1897)、村越鉄善(むらこしてつぜん)(1825―1908)らは、吐菩加美(とほかみ)講、身禊(みそぎ)講社を経て大成(たいせい)教所属の禊教を組織し、それとは別に1879年(明治12)に東京上野に井上神社を建立した坂田鉄安(かねやす)(1820―1890)らは、大社教所属ついで神道本局所属の惟神(いしん)教会禊社本院を1876年に組織。後者が1894年に一派独立して現在の禊教となる。初代管長は坂田安治(やすはる)。本部は東京世田谷(せたがや)区瀬田。神社数1、教会数25、布教所数46、教師数582、信者数8万8110(『宗教年鑑』平成26年版)。

[井上順孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禊教」の意味・わかりやすい解説

禊教
みそぎきょう

教派神道 13派の一つ。開祖井上正鉄。禊祓によって,罪や穢れを清め,誠の心となって神明に近づこうとするもの。3種の大祓の詞を唱えること,息の教えなどがあり,「トホカミエミタメ」と繰返し唱えれば無念無想の境に入ることができ,神人合一の忘我状態となるとする。主神は造化神として,アメノミナカヌシノカミ,タカミムスビノカミ,カミムスビノカミ,アマテラスオオミカミ,禊祓の神として,イザナギ,スサノオ,幽冥主宰の神としてオオクニヌシノカミ,その他祓戸 (はらいど) 神,産土 (うぶすな) 神,教祖の神霊を祀る。信徒は,(1) 神を敬い天皇を尊び,(2) 朝夕神を拝み,(3) 異教に惑わず,(4) 報国のため家業を怠らず,(5) 教祖大人の教えにそむかないこと,を誓う。明治5 (1872) 年門人東宮千別らがトホカミ講を興し,翌年禊教と改めたが,のち別に坂田鉄安らが惟神教会禊社を設けた。 1894年独立の神道一派となった。

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百科事典マイペディア 「禊教」の意味・わかりやすい解説

禊教【みそぎきょう】

教派神道十三派の一つ。井上正鉄(まさかね)〔1790-1849〕が,神祇伯白川家の禊の古伝を得て唱えたのを始まりとする。正鉄は幕府のため三宅島に流されたが,遺徒がその道をひろめ,1894年一派として公認された。造化三神等をまつり,禊祓(はらえ)により純一の至誠を得て安心に至ることを教旨とする。本部は東京都世田谷区瀬田。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「禊教」の解説

禊教
みそぎきょう

井上正鉄(まさかね)を開祖とする新興宗教。神道十三派の一つ。井上は白川家に入門し,神道の布教を行ったが,1843年(天保14)新義異流として三宅島に配流され,弟子が布教を行った。そのため布教内容は統一されず,72年(明治5)吐菩加美(とほかみ)講が結成されたが,翌年2派に分裂。1派は神道大成教と結び,1派は94年に坂田安治を初代管長として一派独立をはたしたものの,その後神道禊教や禊教真派に再びわかれた。

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世界大百科事典(旧版)内の禊教の言及

【井上正鉄】より

…江戸末期の神道家。(みそぎ)教の教祖。上野国館林藩士安藤真鉄の次男として江戸に生まれる。…

【教派神道】より

…(2)江戸時代後期に発達した富士信仰と木曾御嶽信仰の講を再編成した実行教,扶桑教,御嶽(おんたけ)教。(3)おもに明治初年に組織された惟神(かんながら)の道に立つ禊(みそぎ)教,神理教,神習教,大成教,神道修成派,大社教,神道本局(のち神道大教),神宮教。 第1の習合神道系創唱宗教では,黒住教は天照大神,太陽神を主神とする独自の民衆的神道説をかかげているが,天理教の天理王命,金光教の天地金乃神の信仰は,神社信仰を中心とする狭義の神道とは大きく隔たっている。…

【禊】より

…平安時代以降はもっぱら穢れを祓除する意味が強まり,密教系の垢離(こり)の観念にも習合して水垢離,浜垢離,寒垢離,滝行,水行などの修行形式に発展した。中世から近世にかけて修験道や社家神道でその行法を各地の祭礼神事に広め,幕末の神道家井上正鉄(まさかね)は伯家(はつけ)神道の禊法を採用して後の禊教の基をひらいた。【薗田 稔】。…

※「禊教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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