稍・漸(読み)やや

精選版 日本国語大辞典 「稍・漸」の意味・読み・例文・類語

や‐や【稍・漸】

〘副〙 (副詞「や(彌)」を重ねてできた語)
① ある物事が少しずつ進むさまを表わす語。徐々に。次第に。順を追って。だんだん。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「念誦すること稍(ヤヤ)勤むるに、其の光漸く大きなり」
源氏(1001‐14頃)浮舟「消え残りたる雪、山深く入るままに、やや降りうづみたり」
② 他と比べて、物事の程度を表わす語。ある物事の状態が、大小長短上下明暗・良悪などの対比的な比較において、少しどちらかの傾向を帯びているさまを表わす。いくぶんか。いくらか。ちょっと。すこし。
万葉(8C後)三・三〇二「児らが家路差(やや)間遠きをぬばたまの夜渡る月に競ひあへむかも」
③ 特に、いくらか時間的な経過のあるさまを表わす。
(イ) しばらくの間。ちょっとの間。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「人々もそら寝しつつやや待たせたてまつりて、ひき上げたり」
(ロ) 時のたつうちに、どうかすると。ややもすると。ともすれば。
無名抄(1211頃)「今の世の歌をばすずろ事の様に思ひて、やや達磨宗などいふ異名をつけてそしりあざける」
(ハ) 実現し難かったことが、しばらくして、どうにか成り立つさま。やっと。
※俳諧・夢三年(1800)「芦の枯葉の夢とふく風もやや暮過るほど」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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