穀物配給[古代ローマ](読み)こくもつはいきゅう[こだいローマ](英語表記)annona

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「穀物配給[古代ローマ]」の意味・わかりやすい解説

穀物配給[古代ローマ]
こくもつはいきゅう[こだいローマ]
annona

共和政期,穀物はおもにシチリア,サルジニアからオスチアに輸入され,財務官 (クアエストル ) が業務を担当した。 G.グラックス (→グラックス兄弟 ) は穀物を貧民に廉価で配給し,のちには有力者が政治的理由で無償で配分するようになった。ユリウス・カエサルは穀物官 ceriales2名を設け無償配給の対象を 15万人に制限,皇帝アウグスツスは穀物長官 praefectus annonaeをおいて管理させた。共和政期には元老院管轄であったのがのちには皇帝の監督下に入り,穀物長官の役割も次第に重要なものとなった。輸入地はエジプト,北アフリカ,黒海地方が主となり,消費地イタリアにとってはきわめてこの穀物供給は重要であった。

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