穏か(読み)おだやか

精選版 日本国語大辞典 「穏か」の意味・読み・例文・類語

おだや‐か【穏か】

〘形動〙 (「おだいか」の変化した語)
物事や世の中の状態などが平穏無事なさま。つつがないさま。安らかに静まっているさま。
※今鏡(1170)二「をだやかに保たむことを心にかくべきなり」
② やり方や意見などが極端でなく、穏当であるさま。
徒然草(1331頃)六三「兵(つはもの)を用ゐん事、おだやかならぬことなり」
③ 心や人柄などが落ち着いて、もの静かなさま。荒々しくなく、温和であるさま。
日葡辞書(1603‐04)「Vodayacana(ヲダヤカナ) ヒト
[語誌]→「おだいか(穏━)」の語誌。
おだやか‐さ
〘名〙

おだい‐か おだひ‥【穏か】

〘形動〙 (「おだやか」の古形で、漢文訓読語) 物事の状態が穏やかであるさま。
書紀(720)推古一六年九月(岩崎本訓)「尊(かしこどころ)、如何に。想ふに清(オダヒカ)にか」
[語誌]「おだひ(穏)」に「か」が付いてできた漢文訓読語。「おだひ」には上代では形容詞「おだひし」が対応し、和文では「おだし」が用いられた。「おだし」には人の心や性質についての表現があるが、「おだひか」はこれより用法がやや狭く、平穏無事なさまをいう。ハ行転呼音で「おだひか」が「おだゐか」となり、「おだやか」になったのは鎌倉時代に入ってからと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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