精選版 日本国語大辞典 「空貝・虚貝」の意味・読み・例文・類語
うつせ‐がい ‥がひ【空貝・虚貝】
〘名〙
(イ) (①の意から) 「実なし」「むなし」などを言い起こす。
※万葉(8C後)一一・二七九七「住吉(すみのえ)の浜に寄るといふ打背貝(うつせがひ)実なき言もちあれ恋ひめやも」
※大和(947‐957頃)八五「よしおもへあまのひろはぬうつせがひむなしき名をば立つべしや君」
(ロ) (離れ離れになった二枚貝の殻の意から) 「あわず」「われる」などを言い起こす。
※堀河百首(1105‐06頃)恋「思ふ事ありその海のうつせがひあはでやみぬる名をや残さん〈源師頼〉」
※新後拾遺(1383‐84)恋四・一一八七「思ひいづやあら磯波のうつせ貝われても逢し昔かたりは〈藤原家良〉」
(ハ) 同音反復で「うつし心」「うつつ」などを言い起こす。
③ 貝「つめたがい(螺)」の異名。
④ 貝「うずらがい(鶉貝)」の異名。
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