突立・築立(読み)ついたつ

精選版 日本国語大辞典 「突立・築立」の意味・読み・例文・類語

つい‐た・つ【突立・築立】

[1] 〘他タ下二〙 (下二段動詞「つきたつ(突立)」の変化した語)
[一] (突立)
① 突き刺して立てる。差しこむ。
※枕(10C終)二〇一「火箸をしのびやかについたつるも」
② (「つい」は接頭語) 物をひょいと立てる。無造作に立てる。
落窪(10C後)一「えしらぬもの設けて、ついたてて、入り臥し入り臥しする事よ」
[二] (築立) =つきたてる(突立)(二)
書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「築立(ツイタツル)稚室(わかむろ)葛根(かつね)、築立つる柱は、此の家長(いへのきみ)の御心の鎮(しつまり)なり」
[2] 〘自タ四〙
① (四段動詞「つきたつ(突立)」の変化した語) まっすぐに勢いよく立つ。しっかりと立つ。
梁塵秘抄(1179頃)二「春の野に、小屋かいたる様にてついたてる鉤蕨(かぎわらび)、忍びて立てれ下衆に採らるな」
② (「つい」は接頭語) 急に立ち上がる。さっと立つ。無造作に立つ。ちょっと立つ。
平家(13C前)四「ついたて中門に出て」
徒然草(1331頃)六〇「やがてひとり打食て、帰りたければ、ひとりつい立ちて行けり」

つき‐た・てる【突立・築立】

〘他タ下一〙 つきた・つ 〘他タ下二〙
[一] (突立)
① 突き刺して立てる。また、勢いよく突き入れる。つっこむ。つきたつ。
※書紀(720)神代下(兼方本訓)「二の神、是に、出雲国の五十田狭(いたさ)の小汀(をはま)に降到(あまくた)りて則ち、十握の剣を抜きて倒(さかしま)に地(つち)に植(ツキタテ)て其の鋒端(さき)に踞(うちあくみにゐ)て」
今昔(1120頃か)二七「脇に刀を被突立て死て有り」
② 激しく突く。突きまくる。また、突きやぶる。突破する。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉名力士小錦と芽生えの常陸、梅「錦は突かれながら湊の突き立つる手の甲を押へて手繰った拍子に」
③ 表面に押し立てる。もりたてる。
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「其子をつき立母へ訴訟し」
[二] (築立) きずき立てる。造りあげる。こしらえおわる。ついたつ。
※古活字本毛詩抄(1539)一六「ついぢをやがてかきにするぞ〈略〉はやしたててつきたつるぞ」
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)二「此内のにはにつきたてたるへっついのまへに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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