立後・立遅(読み)たちおくれる

精選版 日本国語大辞典 「立後・立遅」の意味・読み・例文・類語

たち‐おく・れる【立後・立遅】

〘自ラ下一〙 たちおく・る 〘自ラ下二〙
[一] (「たち」は接頭語)
① 他の人よりおくれる。また、時期などがおそくなる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「暗く帰り給ふに、人にたちをくれて」
② 才や程度が他より劣る。ひけをとる。
源氏(1001‐14頃)帚木学問をも遊びをも、もろともにして、をさをさたちをくれず」
③ 死におくれる。生きながらえる。人に先立たれる。
※源氏(1001‐14頃)若紫「睦まじかるべき人にもたちをくれ侍りにければ」
物事着手・進歩発展などが標準とすべきものよりもおくれている。
※人間が機械になることは避けられないものであろうか?(1948)〈渡辺一夫〉「機械文明の点で立ちおくれた日本人に於いてすら」
[二]
① 立つのが人よりもおくれる。立ち上がるのがおそくなる。
② (「たち」は出発するの意) 出発がおくれる。
更級日記(1059頃)「国にたちをくれたる人々待つとてそこに日を暮しつ」
③ (「たち」は新しい季節などが来るの意の「たつ」から) その季節の来るのがおくれる。その季候となるのがおそくなる。
山家集(12C後)上「わきて今日逢坂山の霞めるはたちおくれたる春や越ゆらん」
④ (「たち」はのぼり立つの意の「たつ」から) 霧や霞、また煙などがおくれてのぼり立つ。
※大斎院前御集(11C前)「かすみだにたちをくれたるむばたまをいつのまにかは雪ふりぬらむ」

たち‐おくれ【立後・立遅】

〘名〙 たちおくれること。特に、着手、進展が他よりおくれること。
能宣集(984‐991)「かすみだにたちおくれせば春きぬとなにをしるしに人もしらまし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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