立返・立帰・立還(読み)たちかえる

精選版 日本国語大辞典 「立返・立帰・立還」の意味・読み・例文・類語

たち‐かえ・る ‥かへる【立返・立帰・立還】

〘自ラ四〙
[一] 波などが高くなって打ち寄せてはかえる。
※土左(935頃)承平五年二月三日「かぜのふくことやまねばきしのなみたちかへる」
[二] (「たち」は接頭語)
① 繰り返す。同じことを何度もする。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「たちかへりつつ御せうそこ申させ給ふ」
② 折り返す。折り返してすぐ返事をする。折り返してすぐ帰る。
源氏(1001‐14頃)蜻蛉「長ごもりし給はむもびんなし。いきといきてたちかへらむも心ぐるし」
③ もとの場所、行きすぎた場所などにもどる。帰る。あともどりする。引き返す。
古今(905‐914)春下・一二〇「わがやどにさける藤なみ立帰りすぎがてにのみ人のみるらん〈凡河内躬恒〉」
※浮世草子・西鶴織留(1694)五「口惜ながら、是非なく思ひそめましたが因果、お望み次第といへば、此男立帰(カヘ)りて」
④ もとの状態にもどる。昔にかえる。問題の時点にもどる。
※古今(905‐914)恋四・七三四「いにしへに猶立かへる心哉こひしきことにものわすれせで〈紀貫之〉」
浄瑠璃・傾城無間鐘(1723)道行「消えて間の有る魂は起回(タチカヘ)る可きやうもなし」
⑤ 年が改まる。新しい年になる。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「たちかへり年とともにやつらかりし君が心もあらたまるらん」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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