立返・立帰(読み)たちかえり

精選版 日本国語大辞典の解説

たち‐かえり ‥かへり【立返・立帰】

[1] 〘名〙 (「たちがえり」とも)
① 行ってすぐに帰ること。
※浜松中納言(11C中)二「たち返りにもと思へども、おのづから日頃経る事も侍りなん」
※有明の別(12C後)二「まゐらでひさしくなりにければれいのいとまなくてたちかへりもえおぼしたらぬに」
② 中世、庄園の人夫役の一種。長く行先に逗留しないで帰る人夫役。
※菅浦文書‐寛正四年(1463)九月二日・近江大浦下庄百姓申状「又立帰と申人夫は」
③ 返歌。返書。かえりごと。
④ 悪い状態からもとの良い状態に戻ること。立ち直り。
※鳩翁道話(1834)二下「此息子どのは、能う立(タ)ちかへりが出来たものでござります」
⑤ 再び現れること。よみがえること。
※『フロス河畔の水車場』(ジョージ・エリオット)(1951)〈中村真一郎〉「時間は僕らの意識の面を、体験の記憶の立返りを通して拡がって行くからである」
[2] 〘副〙
① 繰り返し。ひっきりなしに。
※万葉(8C後)一五・三七五九「多知可敝里(タチカヘリ)泣けども吾はしるし無み思ひわぶれて寝る夜しそ多き」
※古今(905‐914)恋五・八一六「わたつみのわが身こす浪立ちかへりあまのすむてふうらみつるかな〈よみ人しらず〉」
② おりかえしてすぐに。手紙などを受け取って、すぐに返事を返すさま。
※落窪(10C後)二「なほ、あれこと心有りと聞きたるにやと、くるしうて、立帰、さればよ。〈略〉との給へれば」
③ 今までとは逆に。反対に。
※弁内侍(1278頃)寛元五年一一月一八日「さまざま、なごりをしむときくほどに、たちかへり、うれしや水とはやす」
④ 昔あったことを回想し、当時にもどったように改めて強い感情が生じるさま。
※苔の衣(1271頃)四「いかに我をくちをしくおぼしけんなど、又立帰かなしくて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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