竜骨(漢薬)(読み)りゅうこつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「竜骨(漢薬)」の意味・わかりやすい解説

竜骨(漢薬)
りゅうこつ

『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の上品(じょうほん)に収載されている漢薬。古代大形哺乳(ほにゅう)動物の骨の化石化したものを用いる。現在判明している動物としては化石ゾウ、化石ジカをはじめ、サイ類、イノシシ類、ウシ類などがあげられる。竜骨はその質の違いにより、商品上「花(か)竜骨」と「土(ど)竜骨」とに分けられる。前者灰色で、表面には灰黒色、褐色、黄色あるいは青色をした斑紋(はんもん)、条紋(これを花紋(かもん)という)が認められる。質はやや硬いが、破砕しやすく容易に粉末となる。後者は表面に花紋がなく、断面中空あるいは多孔質である。質は硬くて破砕しにくいが、破砕すると小片となる。花竜骨のほうが上質品とされる。竜骨の主成分は炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどである。主たる薬能は精神安定作用で、ノイローゼヒステリー、失眠、めまいなどに応用される。通常は牡蠣(ぼれい)(マガキなどの貝殻)とともに漢方処方に配合される。古来、竜骨の品質については「なめてみて舌に吸着するものがよい」とされており、新しい骨を石灰水や沈降炭酸カルシウムで処理した偽品には吸着性はない。

[難波恒雄・御影雅幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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