端脚類(読み)たんきゃくるい(英語表記)scuds
sand hopper

精選版 日本国語大辞典 「端脚類」の意味・読み・例文・類語

たんきゃく‐るい【端脚類】

〘名〙 節足動物甲殻綱軟甲亜綱の一目。体は一般に左右に扁平で、頭部、八胸節、七腹節からなり、眼には柄がない。体長〇・五~二センチメートルのものがふつうで、一部淡水陸産のものがあるが、大部分海産ハマトビムシワレカラなど約五七〇〇種がある。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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デジタル大辞泉 「端脚類」の意味・読み・例文・類語

たんきゃく‐るい【端脚類】

端脚目の甲殻類総称。体は左右に扁平で、眼には柄がない。トビムシワレカラなど。

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改訂新版 世界大百科事典 「端脚類」の意味・わかりやすい解説

端脚類 (たんきゃくるい)
scuds
sand hopper

軟甲亜綱フクロエビ上目端脚目Amphipodaに属する甲殻類の総称。種類多く,約5600種が知られる。ヨコエビトビムシ(ハマトビムシ),ワレカラクラゲノミなど,多くは海産であるが,淡水,半鹹水(かんすい)から地下水にも生息しており,ハマトビムシなど陸生のものは湿気の多い日陰の場所に生活している。体長数mm~140mm(最大は282mmであるが種未定)。一般に体に着いている脚のうち,第5胸節のものまでは前向きに,第6胸節以後のものは後向きになっており,体の中央を中心に両端に向きの異なる二つの形の脚をもっているように見える。体は左右に扁平,背甲がなく,頭部は第1,ときに第2胸節と融合している。複眼は無柄で固定。比較的長い2対の触角がある。第2,3胸脚は先端がはさみ状になっていて,顎脚(がつきやく)(咬脚)と呼ばれる。全胸脚に外肢を欠き,底節は大きな底節板となり,その内面にえら,覆卵葉を備える。腹肢は2枝形で遊泳用,前方の3対と後方の2対とでは形を異にし,後方のものは尾肢と同形をしており,ともに尾肢(びし)と呼ばれる。卵は育房で保育される。育房を去る幼体成体に似た形をしており,全脚を備えている。次の4亜目に分類されている。ヨコエビ亜目Gammaridea(ヨコエビ,ハマトビムシ),インゴルフィエラ亜目Ingolphiellidea(おもに深海産),クラゲノミ亜目Hyperiidea(クラゲノミ,タルマワシ),ワレカラ亜目Caprellidea(ワレカラ)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「端脚類」の意味・わかりやすい解説

端脚類
たんきゃくるい
amphipod

軟甲綱端脚目 Amphipodaに属する甲殻類の総称。ヨコエビ類(→ヨコエビ)と呼ばれる。一般に体長 0.5~2cmであるが,20cmをこえる種も知られている。体は左右に側扁し,頭部,7胸節,6腹節からなる。多様な習性とともに形態の変異が著しいが,基本的には 2対の触角,1対の複眼,7対の胸脚,3対の腹肢をもつ。第1胸脚,第2胸脚は顎脚と呼ばれ,鋏状の構造となる。世界で約 5600種が知られ,100近い科に分けられている。ほとんどが海産であるが,陸上に産するものも約 100種あり,湿地,河川,湖沼,地下水などに生息する。(→節足動物軟甲類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「端脚類」の意味・わかりやすい解説

端脚類
たんきゃくるい

節足動物門甲殻綱端脚目Amphipodaに属する動物の総称。潮間帯から深海までに多いほか、陸上の湿地や河川、湖沼、洞穴などに生息する。体長は一般に1センチメートル内外の種が多い。世界で5000種以上が知られ、毎年多数の新種が記載されている。頭部に続いて7胸節、6腹節からなり、強く側扁(そくへん)している。胸節と腹節には1対ずつの付属肢があり、胸節の前2対は第1、第2顎脚(がっきゃく)とよばれ、大きなはさみをもっている。

[武田正倫]

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世界大百科事典(旧版)内の端脚類の言及

【トビムシ(跳虫)】より

…これらは陸上に出ると跳躍して運動するので,一般にトビムシとも呼ばれる。また,陸生種を多く含むハマトビムシ科Talitridae(英名sand hopper,sand flea,beach flea)に属する種類も一般にトビムシと呼び,この名が和名につけられている。ハマトビムシOrchestia platensisは体長10mmくらい。…

※「端脚類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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