競馬(くらべうま)(読み)くらべうま

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

競馬(くらべうま)
くらべうま

馬を走らせて勝負を争う競技で、「こまくらべ」「きおいうま」あるいは音読して「けいば」ともいう。また「走馬」と書かれたもののなかにも、競馬をさす例がある。5月5日の節会(せちえ)に際して競馬の行われた例は、すでに文武(もんむ)天皇の701年(大宝元)にみえ、奈良時代には平城宮の南苑(なんえん)など、平安時代には武徳殿(初め馬埒殿(うまきどの)、馬場殿ともいう)で行われた。当日は親王以下の群臣が献じた馬に、乗馬に長じた者を衛府から選んで騎乗せしめ、左右双方に分けて競わせた。普通は左右2騎を一番として十番行われ、馬場の馬出(本)から勝負の標桙(しめほこ)(末)まで馳(は)せるが、一番ごとに儲勝(もうけがち)、追勝(おいがち)、持(じ)といった判定がなされ、全番を通計して左右の勝敗が決まると、勝方は楽を奏し、負方はその年の10月に負物(輸物)を献ずることになっていた。968年(安和1)に5月5日の節会が停止されて以後、久しく絶えたのちも競馬のみは行われたが、中世以後、朝廷の行事としては衰退した。一方、臨時に王公諸臣の私邸や諸社などで競馬が行われることもあった。賀茂(かも)社のものはことに盛んで、堀河(ほりかわ)天皇のときに競馬料として荘園(しょうえん)が寄進されたこともあって、今日に至るまで往時の姿を伝えている。

[杉本一樹]

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