筑西(市)(読み)ちくせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「筑西(市)」の意味・わかりやすい解説

筑西(市)
ちくせい

茨城県西部に位置する市。2005年(平成17)、下館市(しもだてし)、真壁(まかべ)郡関城町(せきじょうまち)、明野町(あけのまち)、協和町(きょうわまち)が合併して成立。西を鬼怒(きぬ)川、南東境を桜(さくら)川、中央を小貝(こかい)川が流れ、市域は真壁(まかべ)台地と小貝川流域平野に展開。JR水戸線、関東鉄道常総線、真岡鉄道真岡線、国道50号、294号(408号と重複区間)が通じる。

 古郡(ふるごおり)に古代常陸(ひたち)国の新治郡衙跡(にいはりぐんがあと)、その北の久地楽(くじら)に郡寺の新治廃寺跡(ともに国指定史跡)があり、この辺りが古代新治郡の中心地であった。桜川右岸台地上の石田(いした)(現、東石田)は常陸大掾平国香(くにか)の本拠地で、『将門記』によると、国香は935年(承平5)平将門(まさかど)軍に居館を焼き払われ敗死している。下館の地名は藤原秀郷(ひでさと)が将門討伐のため伊佐(いさ)荘(伊佐郡)に築いた上、中、下の3館のうちの下館によるという説もある。南北朝時代に東国における南朝方の一大拠点となった関舘(せきたて)の関城(跡地は国指定史跡)は、一時、北畠親房(きたばたけちかふさ)も入城していた。

 15世紀に水谷氏が築城した下館城は、江戸初期に水谷勝隆によって城下が整備される。下館城下は江戸道、水戸・笠間道が通じ、両道によって日光街道と水戸街道に結ばれていた。このため商業も盛んで、木綿買継問屋・酒造業・肥料問屋などが隆盛。18世紀後半から真岡木綿(もおかもめん)の生産が盛んとなり、明治以後は栃木県東部にかけての地域をも商圏とする都市となった。海老ヶ島(えびがしま)も江戸時代には下妻街道、筑波街道が交差する宿場として賑わった。第二次世界大戦中に軍需工場が移ってから近代工業も興り、県下有数の工業都市に発展。現在は工業団地造成により電気機械、薬品、精密機械、化学などの企業が進出。農業は米のほか、トマト、小玉スイカ、イチゴ、ソバなどを栽培、畜産も行われている。面積205.30平方キロメートル、人口10万0753(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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