管(くだ)(読み)くだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「管(くだ)」の意味・わかりやすい解説

管(くだ)
くだ

中空の細長い管。パイプpipe、チューブtubeともいう。通常、円形断面のものが多いが、その他の形状もある。主として気体液体・粉の輸送、電線などを屋内・地中に配線するときの保護用にも利用される。水道管、ガス管など日常きわめて広範囲に使われ、各種工業用施設にも数多く使われている。このほか管は、曲げに対する抵抗が大きいので、構造物や機械の構成材料、電車内の柱、吊革(つりかわ)を取り付ける横棒にも利用されている。

 材質には金属と非金属とがある。前者鋼管鋳鉄管、銅管、鉛管、アルミニウム管などで、後者はゴム管、木管、ガラス管、陶管、石綿スレート管、鉄筋コンクリート管、碍管(がいかん)、合成樹脂管(ビニル管)などである。

 鋼管は、薄板を曲げて溶接あるいは鍛接してつくられた継目鋼管と、棒材を圧延したり引き抜いてつくった継目なし鋼管とがある。継目なし鋼管は、水圧・油圧が加わるところ、ボイラーなどに使用されている。鋳鉄管は鋼管よりも重く、強度の点でも鋼管より劣るが、安価で耐食性もよいところから、水道・ガス・廃水など地中に埋設する場合に多く使用されている。銅管は耐食性に優れ、たわみに対する性質もよいため、化学工業用や家庭内の給湯用の管、さらに熱伝導もよいのでボイラーその他の熱交換器用にも広く使われている。銅管の一種黄銅管も同じような性質をもっているので、復水器・熱交換器として使用される。アルミニウム管は軽く耐食性もよいので、航空機などの配管に適している。鉛管は耐食性がよいのと軟らかく曲げやすい特長があるので、水道管として利用されているが、ビニル管の普及につれて水道用としての使用は減少の傾向にある。

 ビニル管は軽く、耐食性にも富んでいるうえ、安価で接合も容易なため、使用範囲は今後さらに広まっていくであろう。ゴム管は屈曲自由で、ゴムホースとよばれ、送水・散水用として使われている。鉄筋コンクリート管は一般にヒューム管といわれ上下水道用に、石綿スレート管はエタニット管とよばれ水道用に、下水用には陶管も使われている。電気の引込み線などの絶縁用には碍管が、繊維機械用などには木管が使用されている。特殊なものとして、金属の薄板を螺旋(らせん)状に組み合わせたたわみ管というのがあり、可動部分の油輸送などに使用される。

 液体や気体を輸送する管は、その中を流れる流体の量・物性摩擦抵抗温度などを考えて合理的に配管設計をしなければならない。管路はかならずしも直線状ではなく、途中で管を曲げたり、太さの異なる管を使用しなければならないこともある。管と管とを接続するには管継手(くだつぎて)を使用する。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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