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米政権の硬直したイラク政策 べいせいけんのこうちょくしたいらくせいさく

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知恵蔵2015の解説

米政権の硬直したイラク政策

ブッシュ米大統領は2007年1月に米軍の増派を実施して、イラク情勢の悪化を一時食い止めた。しかし、どれだけ米軍を投入しても、イラク情勢が根本的に改善されるとは誰も思っていない。2万人や3万人の増派では焼け石に水である。しかし、米国世論に押されて本格的な撤退を始めれば、一気に状況が悪化し、自分が大統領の時にイラク戦争そのものの失敗が露呈する。それだけは避けたいという大統領の身勝手な思惑が、国内世論と逆行する増派の裏に透けて見える。 ブッシュ大統領がもう1つ抵抗したのは、イラク問題をめぐるイランに対する外交的な関与だ。06年末に発表された米議会超党派ベーカーハミルトン報告書では、イランとシリアを含む周辺国との外交的関与を重視していた。07年春に大使レベルでイランとの協議を持ったが、結局は形式的な話し合いに過ぎなかったようだ。そのうえ、07年秋になるとイランの核問題に絡めて米国による攻撃の可能性さえ浮上するような対イラン強硬姿勢が米政権に見えてきた。 イラク戦争後にイラクの民主化の過程で議会の第1勢力となったシーア派宗教勢力が、イランと強い関係にあることは自明の事実だ。旧フセイン政権下で反政府運動をしていたダワ党やイスラム最高評議会(SIIC=イスラム革命最高評議会〈SCIRI〉から改名)は、イランに拠点を置き、その支援を受けていた。イランとイラクのシーア派の間の軋轢(あつれき)もあるが、米国がイラン抜きでイラクのシーア派と話をつけることの限界は明らかだ。しかし、ブッシュ政権は、イラク問題でイランの影響力を認めることを嫌っているため、イラク状況の根本的な改善もできず、逆に自分の選択肢を狭めるという袋小路に陥っている

(川上泰徳 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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